!!ひどいの一言に尽きる !!気持ちR-15 色々な思い出が詰まった教室。放課後の今、そこは耳を犯すような卑猥な擬音で溢れかえっていた。閉められたカーテンの切れ間から橙色の光が漏れ出している。そこに蠢く奇妙な二つの陰。私と石丸くんだ。私は椅子に腰掛ける石丸くんを前に膝を付き、石丸くんの足を舐めていた。いつも清く正しく暑苦しい石丸くんにはおおよそ似合わない倒錯的な光景である。石丸くんは椅子から動かない。それは彼がこの行為を望んでいるから―――――では無かった。有り体に言うと私が石丸くんを縛り、椅子にくくりつけたからであった。石丸くんは顔をその瞳の色に染め上げて血が滲みそうなほどに唇を噛んでいる。涙も鼻水も涎もさっきから流れっぱなしだ。そして、きつく結ばれた口から漏れる、隠しきれない喘ぎ声。低く掠れたその声は苦痛とも快楽とも取れる甘い響きを孕んで私の鼓膜を揺らす。ああ、なんて可愛い石丸くん!私が男だったら石丸くんに突っ込めるんだけどなあ、と思いつつ石丸くんの足の裏をべろりと舐め上げた。石丸くんの肩が跳ねて、つむられた瞳から大粒の涙が流れ落ちる。あー、やばい。指の間に舌を這わせ、土踏まずに柔らかく歯を立てる。そのたびにびくつく身体は私の気分をさらに高めた。涎が首筋を滑っていく。不快だが、それすらも快い。 「あれだよね、石丸くんってドМだよね」 「はッ、名字くん、」 「あ、ドМってマゾヒストって意味だからね石丸くん。人に虐められんのが好きな人ってこと。この前知ったんだけど被虐性淫乱症っても言うらしいね。やーいインランイインチョー、やひゃいはこへへろすひんはほー」 「く、口にっ入れたまま喋らないで、くれたまえッ!それにッ、い、淫乱など、」 「足舐められてるだけでこんな感じるなんて紛うことなき淫乱だよ!やったね石丸くん!肩書きが増えたね!」 「違っ、ん!は、ちが、う」 「やだ石丸くん声えろーい、むしろ存在が性的ー」 「君がっ、ぐ、んん、舐めるな…ッ!!」 「そのはほへそほへひうっへほひはひへはほっへふほ?」 「何をッ、言っているか分か、らん!」 「物理的にも精神的にも舐めまわしてやんよってことよ」 そろそろ顎も舌も疲れてきた。私は口を袖で乱暴に拭うと立ち上がり、椅子に座っている石丸くんを見下ろした。その顔は一目で分かるほどに欲に濡れていて、私を見上げる懇願の瞳、それもまたイヤラシイ。あまりに欲を掻き立てる光景に私は無意識のうちに喉を鳴らした。 「石丸くん、気持ちよかった?」 「…君は、何故こんなことを」 「今私は気持ちよかったか聞いているわけですが」 「…」 「聞いてるわけですが!」 「…」 「答えは!」 「………気持ちいいわけが、ないだろう」 「あっれー石丸くんその割には」 にったぁ、と自分の口角が釣り上がるのが分かった。 「勃ってますけどね」 「……」 「がっつり勃ってますけどね」 「……」 「あれかな、女の子に足舐められるって状況が石丸くんに存在するかも分からないサド心をくすぐったのかな?それとも単に足舐められるのが気持ち良かっただけ?それか…女の子にいいようにされて、マゾ的に興奮しちゃった?」 「……う、」 「泣かないでよ、興奮しちゃうじゃん」 「……」 「これからどうして欲しい?」 「………縄を、…ほどいてくれ」 「それでいいの?」 「……」 「その君の今にもズボンにイヤラシいシミを作っちゃいそうなはちきれんばかりの欲望をなんとかして欲しいんじゃないの?」 「…なにを」 「抜いてあげるよ、辛いでしょ」 輝かんばかりの笑顔でそう言い切ると、石丸くんはなんの返事もしないまま項垂れて動かなくなった。目の前で手を振ってみせても無反応である。そこで私は石丸くんの腕を縛っていた縄が、もうほどけてしまいそうなほどに緩んでいることに気が付いた。衝撃のあまり石丸くんを二度見する。石丸くんは未だ項垂れたままだ。その耳は嘘のように赤い。まさか。私はもう一度さっきの問いを石丸くんに投げかけた。石丸くんの頭が微かに縦に動く。そこで私はさっきの石丸くんはうなだれたのではなく、肯定の意を示していたことに気が付いた。背徳感と悦楽で脳みそがぐらぐら揺れる。ああもうやばいやばいやばい!!! 「頑張って優しくするね!石丸くん!!」 「………勘弁してくれ…」 モドル |