「よっしゃ!今から食べ物を粗末にしてやんぜッッ!!!」 石ま……石田くんがいきなりそんなことを言い出したので私は目玉が飛び出るんじゃないかってくらい驚いて、彼を見る。石田くんはメラメラと好戦的に瞳を燃やし、私を見るとニカリと笑った。 「なーに、ビビった顔してんだよ!!」 「いや、ビビるって言うか…、えっ?しょぼくてびっくりした。どうせならタバコとかしなよ」 「たッ…!タバコだぁ!!??テメェオイコラ満20歳以下の喫煙は未成年者喫煙禁止法でキッチリ禁止されてんだよコラ!!!」 「君の兄弟は吸ってたけどね」 「まッ、マジで、吸えねえわけじゃねぇぞ!吸おうと思ったらいつでも吸えんだ!!」 「へぇ…?」 「ンだよその目…!今日は食べ物を粗末にしてやるッて決めてンだッ!!黙ってついてこい!!!」 石田くんは意気揚々と割烹着を着だし、私はとても残念な気持ちになったが、どうせ暇なので、彼に付き合ってあげることにした。 ――――――― 白い皿の上に盛られたそれはなんとも言い難い、例えるなら…いや、例えるのも無理だ。強いて言うなら宇宙物体だ。ダークマターだ。げんなりする私の横で、石田くんは無事食べ物を粗末に出来たのが嬉しかったらしく、満足げな表情をしている。そして真っ直ぐに背を伸ばすと、いただきますッ!と手を合わせた。 「ちょっと待って!!食べんの?ソレ」 「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよクソが!!」 「あ、そりゃそうだよね、いくらなんでも、そんなの食べるわけ…」 「後処理までが悪戯だッ!!!」 石田くんはガッとスプーンを突き刺し、少しの躊躇のあと、それを口に運んだ。咀嚼すると共に眉間のシワが深くなっていく。私はいつ吐くかと台拭き片手に身構えたが、石田くんにそれ以上のアクションもなく、それからは特に表情を変えることもなくパクパクとそれを口に運んでいった。 私の心に妙な哀愁が沸いてくる。まあ、なんだ、お茶ぐらい入れてあげても、いいのかもしれない。 (暴走する風紀委員) |