「ザンネンな女だ」 私は腕を組み、見知らぬ男と楽しそうに笑う見知らぬ女を見下す。 その女の顔はとても幸せそうだ。 おそらく、男が好きなのだろうと、敏くない私でもすぐに分かるほどに。 バラ色に染めた頬は幸せの象徴のようだった。 「カワイソウな女だ」 私は女を見下す。 女は死んでいた。 冷たい床の上で不様で、孤独で、ありふれた死を迎えていた。 私は女を見下す。 土気色の皮膚は生理的な嫌悪を掻き立て、半開きの目はヨドんでいる。 その色はただ暗く、暗く。 底なしの沼の底は、きっとこんな色なのだろう。 人気の無い、薄暗い教室で、女は絶対的な死を迎えていた。 私は女を見下す。 「…馬鹿な、オロカな女だ」 まだ若い、高校生らしき女。 思うままに生き、笑い、泣き、その結果、ザンネン極まりない結末を迎えてしまった。 こうなってしまった最もな原因は、彼女が男を庇ったことだろう。 愛に生き、愛に死んだ…。 字面は美しい。 まあ、結局、彼女が庇った男も死んでしまったのだが。 「女は、この世の理を分かっていなかった。男は死ぬサダメだったのだ。それをねじ曲げようとしたからこそ、女は死んだ。マッタク、馬鹿な女だ。全く意味の無いコウイに身を焦がし、全く意味の無いコウイに身を費やし、挙げ句の果て、全く意味の無いコウイにより、死ぬ。総称して、この女の人生に、全く意味など無かった」 私は口の中で呟き目を固くツムる。 途端に、深く、落ちるような心地がした。 目を開く。 私はノロノロと布団から身を起こした。 何故だか、ひどく不可解な夢を見た気がする…。 私は眠い目を擦り、洗面所へ向かった。 歯を磨く途中で、ふと、鏡を見る。 すると、どういうわけだか、馬鹿でオロカな女が間抜け面で私を見ていた。 ダンガンロンパ。初日記憶喪失で自分の名前すら覚えていないが、コロシアイ学園生活の流れと真相は知っているという意味分かんない設定のアレ。意中の相手は全く決めてません。あ、これってループものか…。 元ネタはお察しの通りゴーストトリックです。今更クリアしました。面白かった! 死せる物語
20130922 ×
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