今日は石丸くんと映画を見に来た。今大ヒット公開中、全世界でNO.1とか煽り文句が付いている多分私にはわけのわからない金額がかかっているアクション映画だ。それをさっきまで石丸くんは眉間に皺を寄せ、難しい参考書に目を通すかのごとく、じっと睨みつけていた。が、今は、


「…なあ、出ないか」


と、汗だっだらの顔で私に懇願してくるのである。小さい声なところに規則正しさを感じるな、と思いつつ私はフルシカトして画面を眺めつつ、ポップコーンを口に放り込んだ。
そう、濡れ場。
洋画にありがちなベッドシーンである。彼との初デートにありがちな、なんとなく映画を見に行ったら濡れ場があって気まずくなっちゃった、というわけではもちろん無い。そもそも私がこの映画を見るのは二回目だ。一回目に見た時のそのあまりの生々しさに、石丸くんに見せたらどういうリアクションするかな、と考えたために現在に至る。
さっきまでブツブツ言っていた石丸くんは、少しすると諦めたのかギュッと目をつむった。とたんにヒロインの喘ぎ声が大きくなる。なんてタイミングが良いんだ。視界を遮ったことにより、聴覚が敏感になったのかどうなのか。石丸くんはビクッと肩を跳ねさせると、カッと目を開いた。しかし画面は未だ肌色一色。膝の上に置かれた拳がブルブルと震えている。石丸くんは涙目だ。逃げ場が無くなると、人間ってこうなってしまうんだろうか。と、石丸くんを観察していると、あ、目、合っちゃった。




石丸くんで遊ぼう!
20130913
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