この閉鎖空間の中で黒板に書かれた落書きを眺めるのは一種の娯楽だ。しかし、もう飽きた。日替わりで絵が変わるわけでもないし。何か書き直そうと思ったが、何を書くかも思いつかない。こうして私は黒板の前に立ち尽くしていた。とりあえず黒板は綺麗にした。チョークも手に持った。ふと頭に一つのアイデアが浮かぶ。チョークの独特な音を立てながら私は一つの数式を黒板に書いた。 128√e980 これの上部を消す。と、 Iloveyou が、歪ながらも現れる。 随分前流行ったなあ、と思いつつその言葉を眺め、それに満足すると私は教室をあとにしようとした。すると教室の後ろの方で佇む特徴的なリーゼントの彼が目に飛び込んできた。 「なに、いたんだ」 「あ、いや、あー、」 何顔赤くしてんだよ。 大和田くんが背後にいたとは気付かなんだ
20130515 ×
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