蕾の季節


「貴方がノクティス様ですか?」
目の前にかわいい女の子がいる。確か王女さま、だ。僕は言葉を詰まらせた
確かに姿形は正真正銘ノクトの身体だ。だけど僕には秘密がある。
僕はノクトであって、ノクトじゃない。けれど、ノクトの中で意思を持って生まれた
「違うよ。ノクトは僕の…おとうと」

「そうでしたか、では貴方さまのお名前は?」
「…僕の名前は、ないんだ。貰う前に、死んじゃったから」
本当のところは僕にもわからない。
コルの言葉を信じるなら僕は母親のお腹の中から生まれられなかった
ノクトの双子の兄ということらしいけど何も確証はない

コルがそう言っただけだ。まだ幼い僕の言葉を信じてくれたし
ただそのときは、僕もそうであったらいいなと思った
それだけの理由だった。僕にはそれで十分だった。

「ウィル、……コルは僕をそう呼ぶよ
父さんが男の子だったら、そう名付けるつもりだったんだって」
「それでは、ウィル様と」
「ウィルでいいよ…君は、ルナフレーナさま、だよね」
「ルーナでいいですわ。」


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