小説 | ナノ
え?静雄と臨也のことかい?
そうだなぁ、あの二人の因縁は遡ること遥か昔、まだ戦争が始まったばかりのヨーロッパにおいて…って、冗談、冗談だよ、ごめんって。
うーん、冗談は抜きにしても、彼等の因縁が長いって言うのは確固たる事実かなぁ。
え?きっかけ?
そんなの忘れちゃったよ。
まぁ、お互い初対面から気に食わなかったみたいだけどね。
ただ、臨也も静雄にちょっかいかけなきゃあんな風にボコボコにされること無くなるのになぁ、とは思ったかな。
何て言うかさ、異常なまでの執着っぷりだったんだよ。
静雄だって、ちょっかいかけない限りはすごく大人しくて良い奴なんだよ。誤解されがちだけどね。
本当に、何で臨也があんなに静雄に構いたがるのかは分からなかったけど、まぁ、僕が言えることは静雄も満更ではなさそうだった、ってことぐらいかな。
本当に二人とも、治療するこっちの身にもなって欲しいものだよ。
特に臨也は酷かったかな。骨折なんてしょっちゅうだったし、内臓痛めたりもよくあったしね。
まぁ、そんな大怪我を彼に負わせたりはするものの、何だかんだ静雄は臨也を殺す事はできないよ。
きっとあの二人にとって殺し合いはじゃれ合いみたいなものなんだよ。
どうスキンシップをとったら良いか分からないから、ああやって追いかけっこをしている様に見えるんだよね、僕には。
えっ?
二人が縁を切ったらしい?
ははっ、おかしなことを言うね。
それは天地がひっくり返ろうとも有り得ないと思うなぁ。
何故かって?
彼等は違いに依存しあって生きている。
その依存の種類が何なのかは知らないけど、彼等にとっては互いが酸素の様な存在なのさ。
切っても切り離せない存在って言えば良いのかな?
きっと彼等が執着心を捨てたなら、二人はきっと窒息して死んでしまうよ。
だから、例え本当に二人が縁を切って赤の他人になったのだとしたら、それこそ本当の殺し合いになるかもしれないね。
まぁ、そうなる前にまた鬼ごっこを再開するとは思うけどさ。
おっと、もうこんな時間だ。
可愛い恋人が寂しがって泣いてしまうかもしれない。僕はそろそろ失礼するよ。