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※来神で馬鹿っぽいざやといざやが好きすぎるしずお


「わっ、なにそのパンツ!」

「これ?可愛いでしょ、毛糸パンツ。」

凍えるような気温が続く真冬。どうしてこんな時期に外で運動などしなければならないのかと、憂鬱な気持ちで体操着に身を包んだ俺は、隣で上がった新羅の声に振り向く羽目になる。
何を男同士できゃあきゃあと女子の様なやりとりをしているのかと、新羅とノミ蟲を視界に入れた途端、俺は後悔した。
強い刺激にくらりと目眩さえ起こしそうになる。

ノミ蟲の白く細い足が剥き出しになっているってだけで俺には十分な興奮材料になる訳なのだが、今日はどういう訳か奴の尻にふわふわとした丸い尻尾が付いているのだ。
尻に、と言うと語弊がある。正しくは、もこもことした桃色のパンツにウサギの様な尻尾が付いているのだ。

「お、おい…ノミ蟲、それ…。」

「俺の妹達がね、外寒いからってプレゼントしてくれたんだー。ほんと可愛いよね、妹って!」

可愛いのはお前だあああああ!そう叫んでしまいそうになるのをぐっと堪え、奴の小さな尻をなめ回す様に見つめる。
小振りできゅっと引き締まった尻に、ふわふわとした尻尾。ぱっと見ただけでも、中々の殺傷能力を秘めていると判断できる。

コイツは普段、理屈だの悪態だのと口煩い癖に、妹達には目茶苦茶甘いのだ。それはもう見ていて嫉妬しそうな程に甘い。
奴の妹達も、確信犯だと言うことが伺えるので余計に腹が立つ。

ふわふわとした尻尾が、視界で揺れる。まるで食べてくれと誘っているかの様なそれに、思わず喉がなった。
落ち着け。落ち着くんだ平和島静雄。ここは学校で、今から体育が始まる訳で、いくらコイツと俺が不本意ながら恋仲と言えど今はまずい。今はマズイだろう。

ぶんぶんと頭を振り、煩悩をどこか遠くへ飛ばす。
もう一度言う。落ち着くんだ平和島静雄。平常心だ、平常心。
ふぅ、と、深く息を吐き出してそっとノミ蟲から視線を外す。
さぁノミ蟲よ、俺が見ていない内にさっさとズボンを履くが良い!

そんな思いを胸に、さっさと体育の準備をしていた俺だったが、奴の一言で俺の努力は全て水の泡となる羽目となった。

「このパンツ、可愛いし暖かいんだけどさぁ、尻尾が変なとこに当たって、何かムズムズするんだよねぇ。」

ぷつーん。
そんな音が脳内で響いた。間違いなく響いたのだ。

「えっ、何、何なのシズちゃん!?」

「うるせぇ、黙ってろノミ蟲!」

「ちょ、わっ!?どこ行くのさ!?下ろせよっ!」

もう俺は十分我慢した。
無意識だろうと誘ったコイツが悪い。そう、ノミ蟲が悪いのだ。
細いその体を担ぐ様にして持ち上げ、更衣室を後にする。その後、散々ぎゃあぎゃあと喚いていたノミ蟲を美味しくいだいたのは、また別の話である。






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いや、あの…気付いたら兎年だったので。
…すみませんでした。

でもバカっぽいいざやって可愛いと思うんですよね!バカっぽいざや!バカっぽいざや!



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テーマ「人外ファンタジー」
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