小説 | ナノ
腹の奥にドロリと熱い精液を吐き出されて、ぶるりと体が震えた。
はぁはぁ、と、耳元で熱の篭った吐息を漏らされて無意識の内にキュッと未だにシズちゃんをくわえたままの場所が締まる。
「っ、おい…締めんな。」
「あ、だっ、て…。」
そう言いつつもまだ抜くつもりは無いのか、俺の体の上にどさりとシズちゃんの重みが掛けられた。
うん、重い。
正直苦しい。
あえて言葉にはしない変わりにぎゅうぎゅうとシズちゃんの性器を業と締め付ければ、手前なぁ、と、切羽詰まった様な声で抗議をされた。
二人でセックスしている時のシズちゃんは、ムカッ腹が立つほど俺に優しい。
そして俺はそんなシズちゃんが嫌いである。普段池袋で顔を合わせれば今まで通りに、自販機やら標識やらを投げつけてくるくせに、こんな時だけは特別なのだ。
そういえば、世間一般的な恋人同士になったのは何時のことだっただろうか。
確かそんな関係になる前からこんな不毛なやり取りは続いていたなぁ、と、記憶の奥底を探りぼんやりと思う。
「ね、痛くしていいよ?」
「は?」
「だから、痛くしていいよ、って。」
優しく抱かれるのが嫌いな訳ではない。でもそれじゃあ嫌なのだ。
例えば俺達の関係が壊れてシズちゃんに新しい恋人が出来たとしよう。きっとシズちゃんはその人のことを今みたいに優しく抱くのだろう。
そう、今の俺と同じ様に。
「手前、マゾかよ…いや、知ってたけどよ。」
「やだなぁ、そんなんじゃないよ。ただ、君が馬鹿みたいに力を押さえてるのが笑えるだけさ。」
「あぁ?」
「だから、化け物は化け物らしくしてろって言ってるんだよ。」
化け物。
その単語を出した途端に変わるシズちゃんの目の色に、俺は内心酷くほくそ笑んだ。
「ひぁ、っ…!」
ガツン、と、未だに入ったままの性器で思い切り奥を突き抜かれて思わず上擦った声が上がる。
「手前の望み通り、手酷く抱いてやるよっ、あの頃みたいになぁ?」
「あっ、あ、シズちゃ、んぅっ!」
ガブリと首筋に思い切り歯を立てられて体がのけ反る。掴まれた腰骨が悲鳴を上げているが、それすらも今は快感だ。
(あぁ、それでいい。)
そうやって手酷く俺を抱いてくれればいい。優しくなんてしなくていい。
そうして初めて俺は彼の特別でいられる様な気がするのだから。
「あっ、しず、ちゃん、」
ねぇ、もっと痛くして。
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ドMとかじゃなくて、特別でいたいいざやさんと好きだから優しくしたいしずお。
あ、いや、彼はドMでした、はい。
えろがどうしても温くて頭の悪そうな話になるのはご愛敬で。