小説 | ナノ

※客×店員


「あっ、はぁっ、だめっ!だめっ、そんなにしたらだめぇ…!」

目の前で細い肢体がビクビクと跳ねた。店のエプロンをしっかりと持ち上げる程に勃起したぺニスは、小動物様の小さな首輪の様なもので、しっかりと根本を締め付けられいる。どうやらこれの所為で自由に射精する事が出来ないらしい。ダラダラとはしたなくカウパーを漏らしながら、もう達したいと涙を零す折原さんは、実に淫らだった。

へいわじまさん。
甘い声で名前を呼ばれてハッと顔を上げれば、声と同様に甘く蕩けた瞳と目が合ってドキリとする。思わず折原さんのなまめかしい体に魅入っていたらしい。
ヴヴヴ、と、彼の体内で先程見繕ったバイブが振動する音がやけに耳につくが、もうこれが夢なのか現実なのかもよく分からなかった。あぁ、俺は一体何をしているんだ。
男を相手に使ったことも無い玩具を手にして、俺は一体、何を。

一瞬正気に戻り、くらりと目眩がした。
そうだ、玩具なんて俺の様な童貞野郎にはまだ早い。こんなレベルの高いプレイは、俺にはまだ早すぎるのだ。
取り敢えず言われたままにローションで慣らしてバイブを突っ込んでみたは良いが、これからどうすれば良いのかが分からない。
何故なら俺が童貞だからだ。そう、しつこいようだが俺は童貞なのだ。俺には女性経験が無い。勿論男性経験がある訳もなかった。

「あの、やっぱりやめにしませんか…?」

「ひっ!?やぁあぁんっ!やっ、やらぁ…!だめぇぇっ!」

恐る恐ると言った風に提案しながら、折原さんの体内に埋まっていたバイブのスイッチを切ろうとして、間違えた。
あぁ、俺は馬鹿だ。
もう死ねば良い。

折原さんの体が、まるで魚の様にびくんびくんと跳ねる。電源を切るはずだった手元のスイッチは、限界にまで振動が高められていた。
いや、だめ、と言いながらボロボロと涙を流す折原さんに、自分のぺニスが限界だと言わんばかりに張り詰められ、もう筆下ろしよろしくこのはち切れんばかりの欲望を彼に突っ込んでしまいたいと思った後に、アホかと自分を罵倒する。
俺は馬鹿か。
優しい折原さんは童貞で玩具初心者の俺に自ら玩具の良さを伝授してくれているだけであって、別に俺とのセックスを望んでいる訳ではない。
そんなことは分かりきっているのだが、やはり彼の色めいた姿を見る度に、俺は必死に理性と戦う羽目となった。あぁ、煩悩が煩わしい。

落ち着け静雄。落ち着くんだ。相手はたまたま仕事で立ち寄ったアダルトグッズ専門店の店員だ。しかも男だ。落ち着くんだ。
まるで呪文の様にそう繰り返して、少し頭が冷えてきたところで、震える細い手が縋り付く様に俺の服を掴んで、ビクリと俺の体が緊張で震えた。

「へ、わじま、さ…ふぁ、ぁん、おねが…もっと、ちょうらい?」

ぶっちーん。
折角理性を取り戻しかけた脳内でそんな音がした、気がした。
気が付けばもう無我夢中で先程折原さんが見繕ったピンク色のローターを彼の桃色の乳首に執拗に宛がい、快楽に喜ぶその姿を見て興奮している自分がいた。

「あっ、あっ、へいわ、じま、さ…ひぅっ、だめ、だめぇ!」

「何がダメなんすか?乳首もチンコもこんなにガチガチにして…。」

「やぁ、言わないでぇ。」

ダメじゃないだろ?と耳元でそっと囁けば、いやいや、と頭を振られる。既に真っ赤に上気した頬からは読み取れないが、どうやら恥ずかしいらしい。あぁ、なんて可愛らしいんだろう。

「言葉で虐められるの、好きなんすね。」

「違っ、ひっ、あっ、それ、きもち、あんっ、ひあぁっ…!」

乳首に宛がっていたローターの片方を今度はガチガチに勃起したぺニスに押し当ててやれば、気持ちいいと言いながら折原さんが喘いだ。張り詰められたそこは、まだ一度も達していない所為か赤く変色していて痛々しい。
ふと、こんなところを締め付けて大丈夫なのだろうかと言う不安が押し寄せる。
壊死の危険性だって無い訳ではないだろう。万が一壊死なんてことになったら、待っているのは切断なのだ。ありえなくもない事を考えて、一瞬ゾッとした瞬間、それとは違う何かが背筋をゾクゾクと駆け上がり、ハッと目の前の折原さんを見る。
何と、あろうことか彼は俺のベルトを器用に外し、ガチガチに張り詰められているぺニスを取り出していたのだ。

「へわじま、さんの、おっきぃ…んっ、んんっ、」

「うわっ、ちょっ!?ちょっ、折原さん…!?」

パクリ。
そんな音が聞こえてきそうな程清々しく、俺のぺニスが折原さんの咥内にダイブした。
あぁ、何だこれ。これが噂のフェラってやつなのか?エロ漫画なんかでよくヒロインが、「あは!おちんぽバッキバキだぁ〜☆」なんて言いながら行うアレなのか?
エロ本と蒟蒻では到底得られない快感にくらりと目眩がする。
あぁ、何だこれ、目茶苦茶気持ちいい。

ちゅっちゅっ、と、音を立てて吸われ、唇同士で挟む様にして圧力を加えられながら上下に扱かれる。
あぁ、駄目だ、ヤバい。
冗談抜きで気持ち良すぎて、すぐにでもイっしまいそうだ。
目の前でふわふわと揺れる柔らかな髪に指を通しながらその快感に酔いしれていれば、不意にぺニスが解放され、外気の冷たさにフルリと張り詰めたそれが震えた。

「へいわじまさん、俺、もうおもちゃじゃ、ダメかも。」

熱の篭った蕩ける様な眼差しで囁かれて、もう俺は我慢することをやめた。
もう此処まで快楽を与えられて我慢できるはずが無いのだ。ついでに言えばこれは同意の上の行為であって、強姦なんかではない。
折原さんの尻に埋まっている太いバイブをがむしゃらに抜き取れば、それにすら敏感に反応する折原さんに煽られる様にして、ヒクヒクとうごめく入口に自分のぺニスを一気に挿入した。
その瞬間、何とも言えない快楽に見舞われ、一瞬呼吸が出来なくなる。
同じく上手く呼吸が出来ないのか、パクパクと魚の様に口を開閉する折原さんに気が付いて、俺は人口呼吸よろしくその艶やかな唇に噛み付く様にキスをした。

「んっ、んんぅ、ふぁ、あん。」

「っは、折原さん…。可愛い。」

唇を食み、ねっとりと上あごや歯列を舐め回せば、甘ったるい喘ぎ声が折原さんの唇から漏れ、キュンと胸が締め付けられる。キュン、だなんてガラで無いのは分かっているが、正にそんな言い回しがピッタリなほど、俺は折原さんに夢中だったのだ。

「あっ、ひぁ、ほんもの、って、すごっ、ひぅっ!」

「っ、えっ…?セックス、したこと、無かったんすか?」

俺のぺニスに対し、ガクガクと震えながら感嘆する折原さんに率直に尋ねてみれば、こくこくと首を上下に振られ、自分でもムクリとぺニスが膨張したのが分かった。
何だそれ、嬉しすぎる。
ついでに言えば、もう折原さんが可愛くて可愛くて仕方がなかった。
つまり話からすると、折原さんの初めては玩具を除けば俺だと言うことになるのだ。

「あっ、あ、へわ、じまさ…うごいてぇ…。」

「っ、動き、ますよ?」

「んっ、んんっ!」

こくこくと首を縦に振る折原さんを確認し、ゆるゆると腰を振り始める。
熱い内壁がねっとりとぺニスに絡み付いてきて、非常に気持ちが良い。

「っあ、折原、さんっ…!」

「あっ!?あっ、やだ、っ!そこ…!やあぁぁんっ!!」

途中で見付けたしこりの様な部分を思い切り突き上げれば、今までにないくらいに折原さんが甘い声を出した。どうやらここが良いらしい。確か男にはアナルに前立腺と言うものがあると、そう聞いたことがある。反応を確かめる様にガツガツとそこばかりを攻めてみれば、今まで以上に甘い声が上がった。

「ひっ!やぁっ、あっ、だめっ!そこ、だめぇ…!も、やらぁ、イっちゃ、ゆるしてぇ…!」

「っ…!!」

執拗に前立腺と思われる場所ばかりを攻め立てていた最中、もう許してと甘い声で懇願され、頭が真っ白になる。
もうそこからは本当に、俺は犬のように無我夢中で腰を振るばかりだった。
自分でも猛獣の様だとさえ思える程に、俺は快楽を得るのに必死だったのだ。
甘い喘ぎ声と駆け抜ける快感に背中を押されるようにして、もう苦しいと涙を流す折原さんのぺニスを戒めるバンドを外してやれば、途端に折原さんの体がビクビクと大きく揺れた。

「ひやぁぁあぁっ!!あっ、はぁ、あぁんっ!!」

「くっ…!!」

びゅくびゅく、と、折原さんの張り詰められたぺニスから大量に精液が吐き出される。
それと同時にきゅっと締め付けられた内壁の圧力によって、俺もまた我慢出来ずに折原さんの腹の中に大量の精液を吐き出した。

「っはぁ…、はぁ…。」

「あ、はふ…ひんっ、」

達した後の気怠さと体力の消耗とで、折原さんの体に重なるようにしてグッタリと体重を預ければ、同じくグッタリとした折原さんに甘える様にして口付けられた。
あぁ、何か俺、今までで一番幸せかもしれない。
寄り添う暖かな体温に少しのまどろみを覚えつつ、その華奢な体を抱きしめれば、へいわじまさん、と名前を呼ばれて我に返る。

「玩具、どうされます?」

ふわり、と、優しい笑顔で微笑まれ一瞬何の事か分からなくなったが、そういえば元々玩具の良さを教えて貰う為にこうして店の奥に連れてこられた事を思い出した。
始めは童貞だし玩具の良さなんて全く分からないしで非常に抵抗があったが、今はもう違う。
俺は童貞では無くなったし、何より玩具の良さを優しい折原さんの体をもって、十分に理解したのだ。

「あの、っ!」

「はい?」

「今折原さんが使ったやつ、そのまま全部、買います。」

新しいのじゃなくて今使ったやつを、そのまま、と折原さんに頼み込めば、一瞬キョトリとその赤い瞳が丸くなる。
そしてその後、彼は見惚れるぐらい眩しい笑顔で言うのだった。



「お買い上げ誠に有難うございます。」









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難産でしたが楽しかったです。
しずおさんに童貞アピールしていただきました。
童貞はステータス。

ついでにしずおさんは自分が童貞なことすっかり忘れて、いざやさんに処女(と言えるのか?)なの?って聞いてます。自分で書いてて、あれ、しずお人のこと言ないんじゃ…と笑いました。
流石は童貞。うん。
not童貞設定も好きですが、23で童貞って可愛いと思うんですよね。

そのうち続編でその後の二人も書きたいです。

いざやさんがしずおさんを誘ったのがセールスなのか一目惚れなのか単なるビッチなのかは実は好きな様に解釈して下さい。






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