06


咄嗟に入った場所は周りの物と雰囲気からして校長室だと思う。天井近くに飾られた写真。その下に「49代校長 西島幸太郎」と書いてあるから、この予想は確定でいいだろう。うん誰だよこのおっさん。
漸く整った息を吐きながら部屋を見渡し、さっき走る前に見つけた人物を探し…っと見つけた。皆思い思いの人と軽く話しているから、彼も誰かと話しているのかと思ったが誰とも話していないらしい。こちとら好都合で大変ありがたいんですがね、色々と。

校長用椅子に座る少年の前に机越しに立った。相手も肘をつき寛ぎながら私を見上げている。なんとなくムカついたがここはぐっと耐えた。

「……マジもん?」

「超マジもん」

「ぶっはwwww不機嫌wwww」

「うるさい」

なんか耐えてたもんがぽろっと外れたように自然と手が出ていた。軽く叩いただけなのに大袈裟にもこいつは「いってえwww」と笑う。痛がるか笑うかどちらにしなさい。
はあ、とこちらも大袈裟に溜め息を吐いた。なんか、疲れた。崩れるように机に腕を乗せて俯いた。

不謹慎だけど、こいつがこの場にいて安心してる自分がいる。今この場に知り合いなんて誰一人いない状況で、新しい人に出会えばそこだけ花が咲いた様に明るくなって、自分だけ一人。例えるなら同じ種類の花がある中ぽつんとその場所に佇む花のような。まあ花って言う柄じゃないけど。あくまでも例えばの話だからね。

そんなの知ってか知らずか、こいつは……和成は優しく頭を撫でてくれた。やっぱどんなであれ、兄妹っていいね。いつどんな時も落ち着くって言うか…。今この状況だからなのかもしれないが、和成のおかげで全部吹き飛ぶ感じ。ふう、と小さく息を吐くと同時にパンっと誰かが手を叩いた。校長室にその音がやけに大きく響く。

「全員、一度集まってくれ」

言われ、座っていた者は立ち上がる。立っていた者は声の元へ行く。束の間休息はこれにてお終いのようだ。
自然と円の様に集まり、恐らく皆知り合いなのだろう。その位置に距離はない。残されるのも嫌で、自分の心の為、ちょうど開いてた和成の横に座った。

当然、見渡しても私の前からの知り合いはいない。強いて言うなら何で皆……、いや、これは後で聞こう。
にしてもどこかで見たことあるような顔が少しいるんだけど…なんで?

20140806


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