03


それにしてもこの部屋は本当に保健室みたいだ。というか病院みたい。薬品の匂いがすごいや。
そうこう考えながらにベッドから降りて、そっと隣のベッドに近づいてみた、のだが…近くで見ると綺麗な茶髪だな…。何度も言うが気持ち良さそうに寝ている。起こすのが正直申し訳ない。が、如何せん非常事態(?)だ。仕方ない。
寝ぼけた頭の中に合った良心を起こせと言う鬼にして起こしにかかった。

「すみません、起きてください」

「…ん」

ここまでして今更だけど、この人先輩さんだったりしないかな。ちょっとやばくね?ないと思うけどいきなりキレられたらどうしよう。一応念のため気をつけていた方がいいか。
何度か揺すって声かけて漸く目を開けた。やっぱり眠そう。

「……」

「……」

な、なんだこの沈黙。ちょっと怖くなってきた。

「ここは…」

「保健室っぽいところです」

ぽい?と茶髪の彼女は聞く。

「私も先程起きたばかりなんです。ですから詳しいことはまだ…」

「そうなの…」

話してみて確信した。この人絶対先輩さんだ。だって雰囲気あるんだもん。

さてここからどうしよう。私から見て前に布の仕切りらしきものがあるんだけど、これはあれかな、部屋を区切るためのものだろうか。だったら向こうに何かあるかもしれない。というわけで向こうに行ってみるか。それからここを出て家に帰る…ことができるのかな。いきなり訳の分からない保健室(仮)にいるわけだし、そう考えたら無意識に瞬間移動でもしちゃったんじゃないのって思えるわ。となるとこれニュースだわ、帰ったら和成に報告しよう。

…あれでも待てよ。私あの時誰かに後ろに引かれる感覚があったんだけど。あれってなんだったんだろう。もしかして瞬間移動じゃない?あっちゃー。
なんだかものすごく目の前の彼女に見られてるんですが。なんだなんだ。………あ、そうでした、自己紹介がまだでした。

「私高尾鈴と言います。えっと桐皇学園一年です」

「相田リコよ。誠凛高校二年」

「せいりん…?」

聞いたことあるような、ないような。でも何処で聞いたんだっけ…。そこからが思い出せない。

「うちはまだ新設校だから聞いたことないかもね」

「そうなんですか」

なるほど。でも私には聞き覚えがあるようなないような感覚だったんだけど、あれはどこか似てる名前の高校でもあったからか?うーん知らない、はず。
ていうか本当に先輩さんだった。

さて、と気を改めて少し向こうを見てきますと言うと私も行くと着いてきた。一緒に隣へ行くとまさに保健室っぽい。一番いいのはそこの扉から出て上を見て見ることに限るんだが……なんだか不思議と怖い。
この部屋の事を調べる為色々と物色しているとねえ、と声をかけられた。

「ねえ高尾って秀徳の高尾くんと関係ある?」

「あ、それ双子の兄ですね」

「え」

手を止めて相田さんを見上げ、ご存じなんですかと聞くと、一度秀徳と試合をしたことがあると返ってきた。そういえば和成から色んなところと試合したと聞いたような気がする。そのうちの一つが誠凛だったのかも。だから聞いたことあるような気がしたのか。…なんだかこれから何度もこんなこと考えそう。
試合、ということはバスケ部……のマネージャーさんかな?私と知ってるマネージャーと少し違うような気ががするが。そういえばどこかの学校は女性監督もいるって言ってた。どこでしたっけね。

「ふうん、妹いたんだー」

「相田さんはマネージャーさんなんですか?」

「リコでいいわ」

「え」

「ほら先輩命令ね」

「え、はい…」

こういうとこで先輩命令ってありなんだろうか。むしろ使っていいのここで。大人しく次からはリコさんって呼ぼう。一応先輩さんなんだから。いやいやなんで名前呼び強要されなくちゃならないんだ。

「それとよく間違えられるけど、マネージャーじゃなくて監督をやっているの」

「監督さんだったんですか」

「そうよ」

高校生で監督…それってすごいな。でも一体どうして…。そこまで思って急に外で小さかったけど悲鳴のようなものが聞こえた。きっとこれ今話してたら聞こえないほどだったと思う。二人してビックリして思わず後ろを振り向いた。振り向いた先には扉。なんとなく、なんとなくだけど、ただ事じゃない気がする。女の勘だけど。

私たち以外にもい人がいた、それと同時に外で何があったと言うの。

20140725


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