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誠凛、海常、陽泉の輪に再び入るとそれぞれ探索する場所について話し合ってた。過去形なのはすでに八割方終わってたからだ。

おさらいとして言っていたのが、少なくとも2階の教室等は鍵が掛かってて開かないんだとか。
なので職員室に行って鍵を取りたいんだけども、そこの扉も鍵が閉まってて開かないらしい。そして登場、私がさっき言った言い忘れてたことの一つ。そう、それは校長室にあった扉が開くと言うこと。その扉の奥が職員室だというのは確認済みなので、そこから入り鍵を拝借、と。勝手な行動だったかもしれないがラッキーだったようだ。うん、よかった。
職員室の鍵の件については桜井たちが私たちに出会う前調べていたらしい。いつあそこ通ったんだろうね。

話は戻って探索しようとしてる校舎は二つ。
化け物が来た側…この言い方は嫌だな。別の言い方…和成たちが来た方は後回しで、赤司たちと出会った校舎を先に探索するとのこと。…この言い方も長いし他の言い方でも考えておこうか…?
あまり纏めれてないのはしょうがない。実は半分聞いてなかったとか言えないからマジで。だから今纏め言われてすごくホッとしてます。赤司ありがとうマジありがとう。

誠凛は2階、海常は1階、陽泉は3階を探索。鍵は分かるとこだけ先に取って下調べみたいな。最初だから、まずは様子見といくんだろう。
1階しかうろうろしてないから、2階と3階は私にとって未知の場所だ。心なしかわくわくしてる。化け物という存在がいなければもっとわくわくしてるだろう
誠凛を2階にしたのは黒子がいたからだと判断した。あまり動いていないらしいが、待ってる間ちょっとだけ辺りを見ていたらしい。
この二人は本当に度胸あるよね。かっこいいを通り越してかっけーだわ。あんまり変わらないけど。

長くなったがおさらいは終わり。誠凛、海常、陽泉で体育館を出た。体育館の出入り口である透明な硝子には、うっすらと血の跡が残ってた。ああそれと気持ち的に置いてた煉瓦もそっと横にずらした。意味あったかな、これ…。

体育館から校舎へ入る。あの化け物が最初にぶつかった扉には微かだが血は残ってた。あれ、こんなんじゃなかったよな…。…おかしい、この短時間で血が消えかけているなんて。余計に不気味で怖いわ。いつまたあんなのが来るかも分からない。そう思うと怖くていざという時動けないかもね。知らない方がよかったと思う。くそう。

…と余計な事は頭から振り払い、早くも着きました校長室。短い道中、あまり会話はなかったが緊張感はヒシヒシと伝わってきました。
だからかな、余計なこと考えてしまうのは。私らしくない。

「…割と狭いな」

校長室を開けた笠松さんの第一声。え、ここ狭いの?そりゃ背の高い人からすれば狭いかもしれないけど!うーん、あの時は確か黄瀬が一番背高かったはず。黄瀬も笠松さんの言うように狭いと思ったのかな。超聞きたいけど睨まれそうで近寄れない。
その前に彼との間には人だっているし行くに行けない訳で。…私なんかが行って聞いても迷惑だよね。もうしょうがないで片づけるしかない。

ぞろぞろと校長室に皆入り、奥にある扉へと足を進めた。変わらず鍵は掛かっていなかったので前と同じ様な事を思った。て言うのは内緒で。

職員室へと入り、早速皆で鍵のある場所を探し始めた。大抵鍵ってのは入り口付近か、一つ離れた机…恐らく教頭の、机に掛かっているんじゃないかと思われ。
職員室は案外ごっちゃごちゃしてて、と言っても通り道に物があってー、とかそういうのはないんだけど。一つ一つと机が半分以上の確率で物が多い。辛うじてスペースはあるぞ!ってくらい。机の大きさがとても狭く感じます、まる。でも職員室自体は中々広いと思うんだよね。だって机がずらーって。20はあるかな。

「あ、ありました」

隣の黒子が声を上げる。ちょっとばらばらになっていたが黒子の言葉によって再び集まる。
私らの目の前には沢山の鍵があった。一年から六年の教室、会議室、放送室、理科室、図書室、音楽室…。結構あるのに、意外と分かりやすく並べられていた。感謝感謝。
ていうかここ、学校だとは思っていたけど小学校か。だとすると校舎の数にも納得がいく。

沢山の鍵を見た先輩たちは、まずはどれを借りていこうか迷っていた。全部でいいんじゃないの?って誰か言っていたけど、それを誰かが持って、別のところにあったとしたらどうするんだと言っていた。まあ今回は様子見ですから。

「ね、黒子。2階は何があったか覚えてる?」

「そうですね…覚えている限り図書室はありました」

「じゃあ図書室の鍵はもらって」

「1階は保健室があったんスよね?一応持っておくッス」

「1階には何があったか覚えてる?」

「あ、はい、確かなら、」

黒子に聞いた流れから私にまで何があったか聞かれた。全て伝えたところで3階担当である陽泉にも必要か分からないが、鍵は持たせた方がいいということになり、皆で3階にありそうな教室を考えることにした。
すごくのんびりしてる。いろんな意味でやばい。

「日向、お前母校に何がどこにあったか覚えてるか?」

「いやさっぱりだ。伊月は?」

「俺もだよ」

「3階か…理科室はあったと思うんだが」

「だったら音楽室もありそうだな」

幾つか候補があげられ、挙げられた教室の鍵は一応持って行ってみようと言う話になった。陽泉が何個か鍵を持ち、おっさんにみたいな人………岡村さんだ、岡村さん。その人に全て預けてた。劉さん?が「アゴリラ」とか言っていたけどなにそれどういうことなの?

とりあえずこんなものかと皆が職員室を出てそれぞれの探索に行こうとした時、間延びした声が皆を止めた。

「ねーこれも持って行った方がいいんじゃないー?」

声の方に振り向くと紫の髪の巨人…む、紫、原。うん、紫原が別の鍵を持っていた。隣にいた片目を隠した美形の、氷室さんがその鍵について聞いた。

「タグには職員室って書いてあるよ〜」

「ここの鍵か…どうするべきかな」

「持ってた方がいいんじゃないのか?」

「そうアルな。じゃあ持っておくアル」

「なんでワシ!?」

「言い出しっぺの法則アル」

なにこのやり取り。陽泉は漫才師の学校なの?冗談です、はい。
てことで職員室の鍵も陽泉が持ち、今度こそ職員室を出た。陽泉と海常の人たちとはここで別れ、誠凛は戻って階段の方へ。陽泉はもう一つの階段の方へ行った。分かりやすく言うと誠凛は赤司と黒子が来た階段、陽泉は保健室前にあった階段。校長室からすれば奥だね。

階段前で日向さん(さっきそう呼ばれてたし)が携帯を確認していた。気になってそっと覗いてみたらタイマー画面だった。残り約46分と表記されており、恐らく1時間タイマーなんだろうなと予想。今回も1時間の制限付きかー。

「なぁ日向、2階に上がったらさっき言ってた図書室に行くのか?」

「ああ、そのつもりだけど。黒子、場所案内してくれるか」

「図書室なら上がってすぐですよ」

「そうか」

階段を上がりながらそんな会話が繰り広げられる。あの人は確か木吉さんって言ったかな。誠凛は他の学校と違ってメンバーが多いから覚えるのが大変だ。こんな時こそメモ帳が役に立つのに、今すぐには書けそうにない。すぐなら携帯も一応あったし、メール画面にでも打ち込んでメモ代わりにしてもいいけど、もしもの為に使いたいから保留。

2階に上がると割と目の前に図書室があった。案内とか必要ないレベル。迷いなく図書室へ向かい鍵を差し込む間、私は辺りを見ていた。なぜかって?

そりゃ…化け物が来たら…嫌じゃん?

あとは何があるかなーって思って。下の階と違って2階には教室らしきものがあった。ちょっと距離あるからなんて書いてあるかは分からないけど。
図書室の横、っていうか手前?にも何かの教室があって、上に何も書かれていないから何の教室かは分からなかった。分からないことだらけじゃねーか!

「高尾さん行くよ」

「あ、すいません」

いつの間にかすでに皆図書室に入った後だった。そりゃまあ、鍵開けるだけですからすぐですよね。優しい伊月さんは私に声を掛けてくれた。校長室の時もそうだけどよく見てるよね、この人。…和成みたい。

20141019


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