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その後特に収穫もなく、一度校長室に戻ろうと言う話になったので戻ることにした。
帰り道で余り賑やかではないこのグループではない場所から、にわかにここからではない話し声が聞こえた。空耳かと思い黒子たちを見るが、どうやら空耳ではないらしい。

「伊月先輩、」

「ああ、聞こえたよ」

「これ俺ら以外にもいるってことっすよね…?」

黒子、伊月さん、和成の順に話していく。これが明るいものなら次私が喋らなきゃダメ?となるけど、どう見てもそう言う雰囲気ではないので黙っておきます。
どこから聞こえてるかは分からないが、案外近いのかもしれない。
校長室の近くまで帰って来ていた私たちは、赤司たちにこのことを伝え、誰がいるのか確認しに行こうと決まった。男子の団結力に私泣いちゃいそうです……。

和成と伊月さんが視てくる、と少し先に進む中、黒子はそっと校長室の扉を開けた。私は特にすることもないからと黒子の傍に居る。
顔半分を校長室に入れ赤司を呼び用件だけ伝えると扉を閉めた。それを見届けた私は早足で先に行ってしまった二人の後を追う。黒子も、ちゃんと来ている。
すぐに追いついた私たちは二人にどうかと尋ねた。

「まだ姿は見えないけど大分近い」

伊月さんが答えると和成も続けて答えた。

「人影は見えました」

つまり、人間。
流れ的に私の知り合いはいないだろうなと内心遠い目をしてるとここじゃないところから声がはっきりと聞こえてきた。誰一人動かないでそのまま様子を見ていると、

「…テツ?」

「青峰くん?」

「え、高尾さん?」

「…桜井?」

「「え」」

なんということでしょう。私でも知ってる人間がそこにいました。
高尾、と呼ばれ反応した和成だったが呼んだ本人の視線の先は私にあった。伊月さんも驚いて和成と一緒に声を上げてるし。もしかして皆さんお知り合いとかじゃないでしょうね?やだー、はぶられそう。

「あれー?誠凛の黒子じゃん!みんなして何してんの!?」

「やめろ葉山。…お前たちだけか?他に人はいるか?」

先頭に立っていた青い髪のガングロと桜井の後ろにもう三人いたらしい。まだ喋ってないけど桜井と同じジャージの人と大きな目が特徴の人とどこか黒子と雰囲気が似てる人。でも背高いから全然違う。…うわなんか少し寒気が。
背の高い人の言ったことよりも私は四人の服が気になったんだけど。気にする事でも、ないか。

「奥の校長室に四人います」

「赤司たち、か?」

「そうです」

伊月さんと黒子が答える中、桜井は不思議そうに私と和成を交互に見てた。…もしかして双子ってこと知らないっけ?まあいいや。

「桜井もいたんだ」

「あ、はい、スイマセン」

「鈴、桜井知ってんの?」

「同じクラスで隣の席なの。だから知ってる。桜井もバスケ部だったっけ」

「そうです。あの、二人は兄妹だったんですか?…あっ!僕なんかが聞いてスミマセン!」

「そうだよ。やっぱ似てる?」

「とても似ていますね…」

「鈴のスルースキルはここで鍛えられてた…」

横で和成が何か言ったけど気にしない。
桜井と少し話してたら黒子たちが動くらしい。このまま校長室に向かうんだと黒子が教えてくれた。なんだかさっきから私の知らぬ間に事が進んでないか?ん?
真面目に聞いてろって?いやいや私がよそ見してる間にいつも進んでて私悪くない、きっと。

「高尾くん、高尾さん。僕たちは先に皆さんのいる体育館に行きます。高尾くんたちは青峰くんたちと校長室に向かってください」

「え、どうして?」

「先に伝えておかなきゃいけない事もあるし、大勢で行って化け物に会った時逃げるのが大変だろうからね」

そう言って黒子と伊月さんを連れて向こうへ行ってしまった結局喋らなかった人と目の大きい人と黒子似の人。どういうことだよ、おい。
黒子の言ってた青…なんとかってこの青い髪の人だよね。大丈夫かな、つか黒い。

「んじゃま!行きますか!」

和成を先頭に校長室へ歩いてく。先頭和成、真ん中私の桜井、後ろに青い髪の人。ダルそうではあるもののちゃんと付いてきている。桜井と同じジャージ…同じ学校の生徒だと…。…ジャージ、ね。
校長室はもう目と鼻の先だ。

20140918


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