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肘掛け部分に居座ったまま第二会議が始まった。これ言っていいかな…。さっき赤司のこっち来いを断ったら三人ほどから視線をいただきました。不思議なもんでした、まる。
作文作ってる場合じゃないんだよね、分かってるってば。

「先程高尾に見せてもらった紙に似た紙が、もう一枚見つかった」

言いながら胸元のポケットから茶色がかった紙を二枚取り出した。一枚は和成たちが見つけたもの。もう一枚が新しく見つかった紙だろう。二つ折りにされており、丁重に広げた後読みだした。
…見つかったってこの部屋で?どこにあったんだろう。と思っていたらソファーの隙間にあったと。え、そんなところに?

“×日 あめ。
今日もにぎやかなクラス。けどみんなどうようしている。ふふ、おもしろい。 一人いなくなっただけで、こんなにもうるさい。
けどわたしにはどうなってるかわからない。”

「…以上だ」

読み上げられた内容はよく分からなかった。ただ気になるのはうるさいのにそれが分からない、という最後の文。なんで分からないんだろう。それにまだ続きもありそうだし…紙切れには謎が多すぎるよ。多分最初に見つけたものとは別の子供が書いたものだろう。口調が違う気がする。

「さて、話は変わるが、僕たちは何らかの理由で此処に連れて来られたと考えていいだろう」

短い沈黙の後、赤司は突拍子もなくそう言った。

「それは…どうやって?」

「それは分からない。人間業なら不可能に近いが、人間業じゃないと考えるなら可能だろう」

真顔で当たり前だろ、みたいな感じで言う赤司になぜ不可能なのかと問えば、自分は京都にいるからだと言った。なるほど、それなら確かに無理だ。というか赤司って京都住みなんだ…と一人呑気に考えてた。ただ真面目に考えたくないだけの現実逃避です。はい。

京都と東京。その間に位置する学校なら人間でも連れてくることは可能だと仮定して。あくまでも仮定。ここ重要。だたでさえここが現実かどうかさえ分からないのにこれ以上どう考えろと言うんだ。頭では分かってるんだ。ここは“普通じゃない”なんて。けど認めたくないって。

…ここに逃げ込む手前、一瞬見えた“ナニカ”。あまり思い出したくないが、“アレ”の存在がこの世界を教えてくれているようなもんだ。ホラゲあるあるなのが、ああいう化け物がうじゃうじゃいるって事。頭の隅に置いておいても損はしないかも。

ふとここに来るまで、目覚める前のことを思い出した。家で疲れた体を休めて、和成が帰って来て、いつものように一緒に勉強しようと道具取りがてら着替えて、それから和成の部屋、の前に行って……。それから記憶がない。やっぱりおかしいよね…何か、何か忘れてないか。


『      』


「……あの、」

ずっと考えてて無意識に下を向いていたらしい。気付いたら顔を上げていた。やっと、やっと思い出せた。おかげで胸のもやもやも取れた。
私が話すと和成が一早く反応してくれた。なんか気を遣わせてばっかでごめんね。

「どうした?鈴?」

「私もう一つ思い出した事があるんです。意識を失う前、『見つけた』って女の子の声がしました」

「…言われてみれば、そんな声したな」

伊月さんもしたらしい。私だけじゃないんだ。その事に驚いてると次々と聞こえたと声が上がる。――ただ一人を除いて。
考え込んでいる様子の一人に向かって話しかけてみた。

「黄瀬は?」

「…え?」

「黄瀬は女の声とかした?」

「あ…した、ッスよ」

「つまり、これで全員の共通が出たな」

共通点…確かにそうかもしれない。全員が女の子の声を聞いているわけだから、これは一歩前進かも知れない。
これからもう少し話し合って探索に行ってみようと言う話になり短い休憩が入った。全員、その場所で休憩という形である。ある意味これからのための意気込みにも思えてきた…。

さっき黄瀬に話しかけたら、すごく意外そうな顔されて私どうしたらいいか分かんない。なんでそんな驚いてんの?考えたって答えは出ない。から和成に凭れてやり過ごそう。なんなら潰したっていいんだから。

「ちょっ!鈴!潰れる潰れる!!」

「高尾くん、うるさいです」

「え、だって鈴が…えっちょ理不尽じゃね!?」

…ぷぎゃーww

20140823


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