08


「一つずつ整理していこう」

という赤司の言葉通り、私らは順に今の状況を整理と共に報告して行く事になった。最初はそうではなかったものの、今この10分くらいで色々と起こり過ぎたからね。整理していかないと頭こんがらがってしまう。
まず先のここに来る前何をしていたか、という話だが皆バラバラで何か共通するようなことはない。なんでだ。なら皆近場にいたのかと思ったが和成によると赤司だけは県外なんだとか。ついでに皆バスケ部だと言う事も聞いた。予想はしてた。黒子もバスケ部だと言うから意外だ。弱そうなのに。などと考えていたら黒子がこちらを見た気がする。…何にも思ってません。

ここに来るまでのことは話した。なら次はここで目覚めてからの話をしよう。私は起きたらリコさんがいたけど、やっぱり皆も誰かと一緒たったのかな。赤司は黒子とかな。和成は桃井と伊月さんと黄瀬とかな。それはそれは…賑やかそうだ。

とりあえず言い出しっぺの法則というものがありましてね。先ず赤司から話してもらいたいわけですよ。言い出しっぺですから。
はっ。そういえばこの場合どちらが話せばいいんだろう。

「僕とテツヤは向こう側の2階で目が覚めたんだ。恐らく渡り廊下だろうね」

「たまたま通りかかった僕が起こしました。ちなみに僕は向こうの校舎の2−1の教室で目が覚めました」

「最初は別々だったんだ」

「ああ。テツヤがいることにも驚いたが自分が今いる場所にも驚いたよ。とにかく情報がほしいとこっち側に来て見たら近くにあった階段下から話し声が聞こえてね。テツヤをその場に待機させて、僕が様子を見に行ったんだ。そしたら誠凛の監督さんと高尾さんに会ったんだ」

「赤司くんが戻ってきて報告をもらったときは吃驚しましたよ。高尾くんに妹さんがいらしたなんて…。それから僕も合流しました」

「次は私たちね。私と鈴は保健室で目が覚めたわ。少し話してたら悲鳴のようなものが聞こえて、外に行ってみようってなったの」

「保健室はこの廊下沿いの奥にあります」

「それで階段近くでどこに行くか話してたら赤司くんが来たのよね。次に黒子くんも来てこれからどうしようって話になった時…」

ちらり、とリコさんがアイコンタクトを送る。

「向こうの校舎から今度ははっきりと悲鳴が…恐らくあなた達の誰かのでしょうが、聞こえたので見てたら、かなり必死で追いかけてくるので、何かと思えば化け物に追いかけられ……この辺はもういいですね」

「こちらの話は以上だ。涼太」

今の話を聞いてて赤司って意外と紳士なんだなと思った。最初があれだったから気にしてなかったけど割と仲間想い?とまあ本人が聞いたら失礼なんだろうけど。おおっと私は何も思ってません考えてません。だからこっち見ないでください。
でも一人で様子を見に行くって中々できないと思う。もし私が和成と一緒だったら和成に行かせてるし。なんでか?めんどくさいから、って言わせんなよ。

未だにこちらを睨んでいた黄瀬も、赤司に言われると表情を切り替えて桃井、和成、伊月さんに目配せしてた。自分が話してもいいか聞いてるのかな。
和成以上に癇に障る奴だな…。私アイツ嫌いだ。赤司以上にな!はい決定。

「オレたちは向こうの教室で目が覚めたんス。最初に伊月さんが起きてから皆順番に起きたッス。教室は確か1-Cだったはず」

「もしかしたら他にも人がいるかもって桃井の女の勘が働いて、全員で教室を回ってたんだけどよ…」

「2、3個教室を回ってからかな。廊下に四つん這いの化け物…?がいて、それを見た桃井が悲鳴を上げてしまって…ハッ!廊k「先輩」あ、はい」

「当然化け物にバレて急いでその教室に逆戻りして暫く隠れて、それからまた再開したんだけどな」

つまり最初に聞こえたあの悲鳴は桃井のものだったのか。納得納得。まあ確かにあんなもの見たら普通叫ぶわな、うん。…あれでいいんだよね、この部屋に隠れる時に見えたやつで。思い出したら吐き気が…。
ぐっと耐えてると誰かが背中擦ってくれた。誰だと見渡すと伊月さんだった。

「大丈夫?」

「あ、はい。…ありがとうございます」

突然の行動にも驚いたが、まさか他人に心配されるとは思ってなかった。だって見知らぬ人間を普通心配する?その優しさに免じてさっき言い掛けてた言葉については触れないでおきます。すっごく聞きたかったけど聞いちゃいけない気がする。
なにより寸でのところで止めに入った黒子の目が聞くなと告げている。…気がする。

20140810


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