ふわっとしてて
「だー!また負けた!」
『動きはだいぶよくなってる。反応もいい』
「…おう」
『けど何で取れないのかな!』
「知るか!俺が聞きてえ!」
話には聞いてたけど跳躍力には驚いた。3Pとか普通に投げたら難なく取られてしまうからちょっと工夫して、取られないようようにはしてみたけど。
一緒にバスケするたびに伸びてくジャンプ、スピード、その他もろもろ。限界が見えない彼も、もしかしたらキセキの世代と同じなのかもしれない。
『(でももう私には関係ないかな…)』
「卯月もう一回!」
『はいはい』
再びボールを手に取り1on1の体制に入る。
私が攻めて、火神君が守る。今度は守れるだろうか?
暫く1on1は続き、コートの外に人影が見えた。
「あーいたいた。卯月ちん〜」
『どうしたの紫原君。…ともう一人…?』
「あ?あ、タツヤじゃねぇか」
「やあタイガ。とお嬢さん」
お菓子を持ってやってきた紫原君。ともう一人、はえっと確か火神君が「タツヤ」って呼んでたからこの人が氷室さんかな。火神君の兄貴分だとか。違ったらどうしよう。
紫原君は1on1中などお構いなしにコートに入ってきた。いたってことは探してたのかな?
「…卯月ちんもバスケ馬鹿だね」
『あはは、ありがとう』
「褒めてねーしっ」
『私には褒め言葉だよ。それで、どうかした?』
「ん、特に用はないけど室ちんと歩いてたら室ちんが火神を見つけたから、俺も卯月ちんいるかなーって思って」
『そっか』
探してたと言うわけではないようなので一安心だ。探してたならメールなり電話なりしてくるだろうし、それに今は気付けない状態だったわけだし。
紫原君と話していると氷室?さんから話かけてきた。
「君が卯月サン、だよね?」
『はい。初めまして。氷室さんですよね?』
「俺のこと知ってるのかい?」
『火神君から少し』
「そう」
氷室さんは私と火神君と交互に見てから「タイガとバスケ?」と聞いてきた。私はそれにはいと答えると火神君に「手加減してやりなよ、相手は女性なんだから」と。…なんだか少し恥ずかしい。けどどちらかと言えば負けてるのは火神君の方なので修正を入れなきゃ。けれど口を開くより前に紫原君が口を挟んだ。
「手加減とか卯月ちんにはいらねーし。室ちん卯月ちんを甘く見ないでよねー」
「…アツシがそう言うなら…すごいんだろうね」
『そんなことないですけど…』
紫原君たちは大袈裟なんですよ…。
そういえばどうして二人は一緒にいるんだろう。用事があるならそっちを優先した方がいいんじゃないかな。
「ねぇ、少し二人のバスケ見させてもらってもいいかな?」
『へ、あ、どうぞ』
「おう」
「ありがとう。アツシはどうする?」
「…少しだけねー」
二人は備え付けのベンチに座りコートを見ている。なんだか見られてやるのは気が引けるけどまだ途中だしやってしまいましょうか。
『続きやろっか、火神君』
「おう。…やりにくいな」
『…そうだね』
結局二人は私たちが解散する数時間後まで見てました。用事はよかったのかな…。
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氷室さんよく分からないです。ただ、掴めない、をイメージしてみたんですけど…氷室さんになってるでしょうか…。
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