もう一度キミたちを知る | ナノ
お昼寝しましょう

『ふあ……ふぅ』


今日の分の課題を終わらせた直後、欠伸が出た。

思えば最近ロクに寝れてない気もする。それというのも火神君に出会ってからやたら1on1の誘いを受ける。青峰君とやればいいのにと言うと少し悩んで「卯月とやりたい」と言う。絶対青峰君とやった方が面白いのになぁ。
今日は土曜日。黄瀬君は仕事で青峰君は黒子君と火神君とバスケ。紫原君はお菓子を買いに行って、緑間君と赤司君は教材を買に行った。いつの間にそこまで仲良くなったんだろうか。あんなに競い合ってたのに(緑間君が一方的にだけど)。私も一応後で買ってきた参考書を見せてもらうつもりである。
そろそろ3人は帰って来るだろう。時間的に。


「ただいまー」


ちょうどその時帰ってきた。紫原君、と数人の足音。下へ降りて『おかえり』と言う。最初はちょっとくすぐたかったが今じゃもう慣れた。


「ただいま優。今日の晩のメニューはこれにしてくれ」

『ああ、はい。…ん、わかった』


他数名の足音の正体は緑間君と赤司君。赤司君の持ってた袋を受け取り、中身を確認しする。今日の晩御飯は大変そうだと苦笑いした。まだ作るには早いからと食材を冷蔵庫に入れた。一部は台所に置いて。そこでまた一つ欠伸が出た。


「アララ〜?卯月ちんおねむ〜?」

「十分に睡眠が取れてないのか?」

『そんなことはないと……ふあ…っ』

「まだ夕飯まで時間ある。仮眠をおススメするのだよ」

『大丈夫ー』


とは言うが実はものすごく眠い。うーんさっきまではここまでじゃなかったんだけど。眠気覚ましにコーヒーでも入れようかな。


『コーヒー飲む人ー?』

「頂こうか」

「頂くのだよ」

「俺は甘いので〜」


3人の砂糖とか牛乳の配分をもう覚えてしまっている辺り、すっかり慣れたなとしみじみ思うのだ。覚えなくてもいいような、ないような。しかし覚えることによって一々聞かなくてもいいと言うことになり…。どうなんだろう。
砂糖多目が紫原君。普通くらいが緑間君。ちょっと苦めなのが赤司君。一口もらったけど飲めなくもなくもない…全部は無理だな。私は緑間君と紫原君の間くらいが好き。
それぞれの前に置いたり手に渡したりして、大丈夫かなと横目に確認しつつ自分のコーヒーも飲む。早く目が覚めればいいのにと思うのにそうもいかないなんてね。
どうしようか…。


『そいや参考書どうなったのー』

「大丈夫か卯月。伸びているのだよ」

「一度休めばいい」

「時間になったら起こしてあげるよー?」


なんですかこの3人の連携は…!
そういうのはバスケで出してください!今出さなくていいです!いや普段から使えるようにはしておいた方がいいけども…!
だがしかし今だけ甘えておきたい、かも。睡魔がものすごい勢いで襲ってくる。
仮に今寝て1時間後に起きれないかな、コーヒーのそれが働いて。


『…コーヒー飲んでからにします』


物は試しよ。うん。



◇ ◇ ◇



コーヒーを飲み終えカップを流しに出し洗ってしまおうかとも思ったが、まだ飲んでる人もいるしまとめて洗ってしまおう、と、後回し。もちろんあの時買ったマグカップだ。みんなちゃんと使っているし大切にしている。後日桃井さんにも渡しに行った時は涙を流すほど喜んでくれた。お揃いだね、って笑ったら余計泣かれちゃったっけ。
止まらない欠伸にどうしたものかと思いつつ自室へ戻ろうと階段へ足を向けた。それに気づいた赤司君がなぜかついてきて現在ベッドに腰かけている。あ、私の部屋ね。


『…赤司君』

「なんだ?」

『なんで私の部屋にいるのかな』

「いいじゃないか。気にすることはない」

『気にしてないけど何か企んでる目してる』

「そう見える?」

『バッチリ』


まああとで起こしてくれるなら話は別だけど。

もぞもぞとベッドへ上がり寝転んだ。仰向けではちょっと恥ずかしいので横向き。横から赤司君の手が伸びてきてさらっと前髪を撫でるように梳かす。なんかこれ彼氏とかそういうのに似てる、ような。


「優の髪はいつもさらさらしてるな」

『そう?結構扱い雑いよ?』

「知ってる。中学の時も適当だったな」

『…よく覚えてるね…』

「一番傍に居たしな」

『そうだね…』


こう話してる間にもずっと赤司君は頭を撫でていて子ども扱いされてるような気もするが、今はこうされてるのがとても気持ちよく…意識を手放した。
沈みかけた時赤司君は「おやすみ」と言っていたような気もする。
眠っちゃえばよく聞こえないよ。



◇ ◇ ◇



「アララ、卯月ちん寝ちゃった?」

「ああ。今しがた」

「そっかー」


お菓子を持ったままゆっくりと敦が優の部屋に入り、そのまま僕とは反対側へ座った。ギシリ、とスプリングが鳴る。


「赤ちんばっかズルいしー」

「何もズルくないよ」


敦も優の寝顔を見ながら起こさないようにぼそぼそと話す。
暫くすると敦も眠たそうに瞼を擦り始めた。


「敦、眠いのか?」

「眠くねーし…」

「寝ていいよ、真太郎にあとで起こしてもらうよう頼んでくるから」

「ん…」


そのままこてんと優の横で上半身だけ転がり寝てしまった。真太郎に一言言ってから僕も一眠りしようかな。






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