もう一度キミたちを知る | ナノ
これは必然です

講義は対して難しくはないと思うのだが、その時間を使い“寝る”と言うことが逆にすごい。
今私がいる斜め後ろの人なんてぐーすか寝てるし、前の人も完全に突っ伏している。逆に言えば何かに熱中してるのか夜中に何かあるのか、何が言いたいってそれだけ集中するものがあると言うのになぜ大学に入ったの。そっちに専念したらどうなのかな。
教師は見て見ぬフリと言ったところだろう。寝てる自分が悪い、というそんな自業自得。
教師の声と時計の音が響く中、何の予兆もなしに聞こえた隣から小さないびき声。まさか隣から聞こえてくるなんで思いもしなかったから肩が小さく跳ねてしまった。それよりも。


『(うわ…熟睡)』


声のした隣を目だけでちらりと見る。一応ノートには取ってたみたいだが途中で尽きたらしい…机に突っ伏している。教師の目を盗んで軽く肩を揺さぶる。…いびきがうるさいだけですよ。
にしてもこの人何処かで見たことある気がする…。赤司君じゃないけど真っ赤かと思いきや下が黒いこの人…顔見ればわかるかなー。

そこでちょうど終了の合図が鳴った。
書けてないとこを数行書いてノートを閉じた。筆記用具等を鞄にしまいながらもう一度肩を揺すってみた。が、起きない。いやもしかしたら起きてるかも知れないけど全く反応がないって…まぁ関係ないか。
全て終い席を立つ。次はここから隣の建物に行かなくてはいけない。今日の夕飯何にしようと考えていると誰かに肩を掴まれた。


「おいお前!」

『わっ!?』


突然後ろから肩を掴まれたのもそうだけど掴まれたとき前のめりになってしまった。危うく転ぶくらいの勢い。倒れかけただけなので特に何の問題もない。後ろの人が若干焦りながら引っぱってくれたのもあるが。倒れかける程とは…すごい勢いで走ってきたのだろうか。
体勢を立て直し後ろを振り返ってみた。そこにいたのは身長190pくらい…それ以上?のさっきの人がいた。寝てた…よね。てことは走ったこと決定じゃないか。
じっと見てると相手の人が「あのさ、」と口を開いた。


「アンタ、バスケやってるか?」

『あ、はい、一応…』


なんでわかった。
あ、この人眉毛すごい。二つに割れてリンゴのうさぎみたい。そうだ、今日はリンゴ剥こう。うさぎにして。じゃなくて。
私の答えに一気にぱぁっと見るからに明るくなったこの人は「オレもなんだ!」と言う。ますます引っかかる。見たことあるこの顔。誰…だっけ。名前聞いたら分かるかな。


「学校終わったら1on1しねぇ!?…ですか!?」


なんと1on1のお誘いが来た。特に断る理由もないので二つ返事で答えた。そろそろ動かなくては間に合わなくなると足を動かした。当然のようについてくるこの人。次もあるのかな?


『あといくつ残ってます?私次がラストです』

「オレも次で終わる。…です」


聞けば次は私と同じ教科らしい。なら問題ないなと判断。そういえば次黒子君と一緒だなー。あ、黒子君…?何か引っかかる。


『ところでどうしてバスケやってると分かったんですか?』

「アンタから強いやつの匂いがしたんだ。それも今までやってきた奴よりもずっと強い匂い」

『匂い?…君は動物ですか』

「ちげーよ。です」


さっきからなんだろうこの敬語もどきは。もしかして敬語苦手なんだろうか。見てて面白いけどさすがにアレだし、そろそろ楽になってもらおうかな。
名前と学年言うとマジか的な目で見られた。それはどういう意味だろうか。

なんで匂いだけでバスケやってると分かったのか聞くと「バスケやってる奴しか匂わねぇんだよ」とのこと。肉食動物が同じ肉食動物同士で争うのとちょっと似てる。
話してて漸く思い出したのだが、この人高校の時黒子君の相棒だった人だ。道理で見たことある人だと思った。その事も伝えると「お前黒子知ってんの?」と言われた。同中だと告げるとまたまた意外そうな目で見られた。どういうことなの。
ジト目で見てると慌てた様子で。


「や、桃井以外にも女の知り合いいたんだなと思ってよ」


絶対に黒子君に言おう。そしてイグナイトされてしまえ。





『ところでこの方向だと国Aになるけど』

「次それだし」

『じゃあ問題ないね。そうだ、黒子君も誘うよ』

「おーそうだな、久しぶりやるか」


ガラリと部屋のドアを開ける。人はまだ少ないが、ギリギリになると一気に入ってくるので特に気にしない。少し上に目をやると今じゃすっかり見慣れた水色がゆらゆらと揺れている。向こうがこちらの存在に気付いた時は既に3m以内。相当持っている本に集中しているらしい。
私たちの姿を見るなりほんの少し目を開かせた。


「火神君に卯月さん?いつの間に仲良くなったんですか」

「ついさっきだ」

『この後1on1する約束したの。黒子君も一緒にどう?』

「マジですか。やります」


即答だった。








『そういえばね、私の事強い奴の匂いがしたってことで出会ったんだけど』

「僕初めて会ったとき匂いがしない、無臭なんだと言われました」

『無臭……』

「僕の場合特殊ですから」

『そうだね』





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大学って何するんでしょう……。





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