もう一度キミたちを知る | ナノ
二人の勉強会

『――つまり、ここに公式を当てはめて…』

「あっ、なるほど!」

『…うん、正解。よくできました』

「卯月っちは教え方うまいッスね!」

『そんなことないよ』


どうも、卯月優です。只今黄瀬君に数学を教えてました。いえ教えてます。
範囲は中高あたり。仕事もだけどやはり部活が楽しすぎてあまり勉強に力が入らなかったようです。
そんなわけで、高校はアメリカで過ごした私ですが数学を教えてるわけです。緑間君か赤司君あたりに教えてもらえばいいのに。
ある程度一人でできるようになった頃、通りすがりの青峰君が黄瀬君の部屋に入って来ました。


「卯月教えんのうまいの?」

「うまいッスよ!青峰っちも教わるといいッス!」

「やめとくわ」

『…青峰君何しようとしてたの?』


手には雑誌。服装は部屋着。とても外に行くとは思えないけど…。
黄瀬君もその一言で手が止まっちゃったし。


「別にナニも」

『…ちょっとよくわからないや』

「青峰っち…サイテー。憧れるのはもうやめr『当の昔にやめてるでしょうが。ほら、次の問題』はいッス!」


黄瀬君が訳のわからないことを言い出したのでもうこの際青峰君は最初から来ていなかったように何もなかったように勉強を再開。私もこのあと課題をしなくちゃな。



◇ ◇ ◇





「ここはこうッスかね…?」

『うん、ただこれはいらないけどね』

「あ、じゃあ答えはこうなるんスね」

『正解』


かれこれ1時間は黄瀬君に付き合ってる気がする。もう教えることは何もないほどまでになった。これならもう大丈夫。
考えてみれば赤司君や緑間君の教えのおかげであの大学に入ったんだし一応できてる方だとは思うんだけど…。
何気なく見た時計の針は夕方を表しており、窓から差し込む光はオレンジでとても綺麗だ。住んでからわかったけど、この辺りはとても綺麗に日差しが差し込む。だから朝カーテンを開ければ眩しいし、夕日は綺麗だし、まるで夢の部屋だ。こんな部屋早々ないと思う。…多分。
…風はどうか知らないけど。


『私そろそろ夕飯の支度するね。わからないとこあったら下においで』


まあ来ることはないだろうけど。
返事にニコリ微笑まれた。普通の女の子だったらイチコロなんだろうな。
私にはよくわからないけど。



◇ ◇ ◇



もうすぐで夕飯を作り終えると言う段階まで来ると、ガチャリと玄関のドアが開く音がした。恐らく今この家にいない赤司君、紫原君、緑間君、黒子君あたりだと思う。
黄瀬君も一応学校はあったが午前中だけだったらしい。私は明日行くけど。


「ただいま」

「ただいまなのだよ」

「ただいまです」

「ただいまー」


廊下のドアから出てきた4人に『おかえりー』と返した。台所からで申し訳ないけど。
黒子君と赤司君はすぐに2階へ。紫原君はお菓子をもそもそ食べながら…ではなく食べるのを一時的にやめて2階に上がって行った。緑間君はソファに一旦荷物を置き、台所の方へと寄ってきた。


「手伝うのだよ」

『ありがとう。でももうすぐ終わりそうだし休んでていいよ。疲れてるでしょう?』


確かにありがたいけど、疲れてるだろうしあまり無理はさせたくない。もうすぐ終わるというもの本当だし。
明日だって学校もあるし。なにより課題があるだろう。


「疲れてなどいないのだよ」

『…そう?じゃあそこにあるおかずを適度に余所ってくれる?』

「了解した」


どうしても引く気はないらしいので仕方なくお願いした。
予定より数分早く出来上がったところで、タイミングよく黄瀬君と黒子君が下りてきた。


「卯月っちー!!」

『え、うわっ』


突然後ろから抱きつかれ手に持っていたボールを落としかけた。あ、流しに置こうと思って持ってました。
緑間君は必至で卯月から離れるのだよ!と言って剥がそうとしてくれてるがその度に首元に回された腕が首を絞める。黄瀬君苦しい…。


「黄瀬君卯月さんが死んじゃいます」


まささに鶴の一声。若干慌てた様子で止めてくれた黒子君。それで少し緩くなった腕の力。と同時に解放される首元。ほんとに死ぬかと思うくらい苦しかった。


『どうしたの黄瀬君』

「うわーん卯月っちー!!」


またも抱きつこうとする黄瀬君にストップをかけ、とりあえずテレビ前のソファに腰かけるようにと招く、が無視してその場に座り込んでしまった。
通り道だし無駄に大きいし正直邪魔なんだが。


『黄瀬君?おーい?』


しゃがんで黄瀬君の顔を覗こうとするが何故か阻止される。片手で顔を隠してもう片方で私の目を塞ぐ。なんで。
小さく「ちょっと待って…」と聞こえたので少し待ってみることにしたけど、緑間君と黒子君確か同じ空間にいたよね。
数分くらいして漸く手の目隠しを外され明るくなった視界。


「卯月っちぃ……」

『どうしたの?』

「あ、赤司っちが…」

『赤司君?』

「…ああ」


向こうで黒子君が何かを理解したように頷いた。
分かるように説明してもらってもいいですか。


「赤司っちの教え怖いッス!!」

『…は?』

「だから卯月っちまた教えて!」

『うん、いいけど…』


全く読めないけど勉強教えるのは別に構わないけど…。
黒子君に聞いたら分かるかなぁ。
とりあえず黄瀬君に残りの3人を呼んできてほしいとお願いしてその場を離れさせた。
階段まで上がったのを確認し、黒子君にさっきの意味を聞く。


「僕も断片的な部分しか知らないんですが、たまたま黄瀬君の部屋のドアが開いてたので中を覗くと黄瀬君がだらしない顔で勉強してたんで喝を入れたんだと…思い…ます」


最後の方はさっと目を逸らされたけど気にしないでおこう。
おかしいな、ちゃんと真面目にやってると思ったのに。
…まぁいいか。




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オチが見えなくなりました…。





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