もう一度キミたちを知る | ナノ
それぞれの役割

特に異論もなくとんとんと事は進み以下のように決まった。

料理は私、黄瀬君、黒子君。
掃除、洗い物は私、緑間君、紫原君。
洗濯は各自全員。
買い物は私、赤司君、青峰君、紫原君。

料理は先ほどの料理を食べてみんなが私を推薦したのだ。別に構わないけど。料理は好きな方なんで。サポートに黄瀬君と黒子君も加わり、あの広さだし大丈夫だなと判断。黄瀬君の場合、仕事の都合であんまり手伝えないかもということで黒子君も混ざったんだけども。黒子君以外料理できるイメージない…。
洗い物は主に私と黒子君担当、緑間君は食器を片づける担当。なんでも手があれるのは嫌だとか。主婦か。掃除はリビングとかお風呂場とか。水物は私がやって、そうでないものは緑間君がやる。黒子君も手伝ってくれるそうだ。さすがに各部屋はそれぞれで掃除しないとダメだけどね。
洗濯に関しては、全員でそれぞれの方がいいよね、という私の意見にみんなは「あー…」とか言ってたけど。…一緒にしちゃちょっとまずいでしょ。てか明らかに残念そうな顔してる人が居ましたけど?え?
買い物は料理もあり私はほぼ絶対。赤司君はお財布担当。残りは荷物持ち。赤司君曰く、この二人なら重い荷物も大丈夫だろとのこと。

あとは暇さえあれば手伝いもよし。個人で行動もよし、とのこと。
基本はこれで行くらしい。


そんな感じで大体決まり、明日の為今日はもう寝ると言うことに。明日は全員休みらしいので必要なものは明日買いに行こうとも話が出た。足りない物、必要なものは各自で確認しとけ。それではおやすみ。その言葉にそれぞれ自室に帰ったのだが…。


『なんで私だけ帰らせてくれないんですか赤司君』

「いいじゃないか減るもんじゃあるまいし」

『必要な物確認したいです』

「そんなもんどうせないだろ」

『確認する前に決めちゃっていいんですか私がまだ分かってないのに!』


ぺらぺらと口の動く私たちは何なんだろうとつくづく思う。長年の慣れでしょうか。
私も部屋に戻ろうと席を立ったのですが、向かい側にいる赤司君に「話がある」と制されもう一度座ったんですけど。
話とは?と催促したのだが無視してニコニコと私を見てる。用もないのに呼び止められたのかとも思ったが、彼がそんなことをするとは思えない。


『…用無いの?』

「僕個人にあるんだよ」

『なにそれ』

「もう少しここにいてくれたらそれでいい」

『はあ…。5分だけね』


いるだけでいいんですね、わかりました。5分だけいましょう。意図が分からん。
カチカチと時計の針の進む音が部屋に響く。ほんの数分前は賑やかだったけど、元凶(キセキ)たちが上に行くとこうも静かなのね。少し…いやかなり寂しい。…3日前からこの家にいる赤司君のこと考えたら同情するわ。そりゃ寂しいもんね。私だったら1日も持たないかもしれない。持たせてみせますけど。
正面には頬杖を付いてこちらをガン見してる赤司君の姿。心なしか目が嬉しそう。気のせいだろうか。知らんフリして明日のメニューを考える。というか明日は入居祝的なものはしないのかな。するなら頑張って料理するけど。
明日のことをいろいろ考えていると前からふっと言う笑い。無意識にそちらへ顔を向ける。


「変わらないな」

『…そう?赤司君は変わったね』

「おや、そう見えるかい?」

『なんかね、少し丸くなったように見えるよ』

「へぇ」

『きっとあれがきっかけなんだろうね』

「そうかもしれないな」


“あれ”とは3年前のWCの決勝戦の事である。もちろん見に行ったがなかなかいい試合で、結果は洛山の負け。誠凛の勝利。あの強豪校を負かすとは、誠凛も成長したもんだ。
おかげで、私はついに独りになっちゃったけどね。私はまだ…。

ってそんなことはどうでもいい。
そうこう考えてるうちに5分は経った。


「っと、そろそろ5分だな。すまないな、引き留めて」

『別にいいけど、結局何だったの』


階段前にて何がしたかったのか聞いてみた。するとフッとまた鼻で笑って、


「優を見ていたかっただけだよ」


『は?』の言葉も出ず、赤司君はさっさと自室に向かってしまった。私もはっとして追いかけて2階に着いた時にはすでに赤司君は自室へ行ってしまったようだ。
私も自室へ入ろうとドアノブに手を掛けたところでガチャリと隣の方から扉の開く音が。振り向くと赤司君が部屋から顔を出していた。


「ところで優、明日は朝から作ってくれるのか?」

『そのつもり…だけど』

「なら和食にしてくれ」

『わかった』

「おやすみ」

『…おやすみなさい』


それだけ言うとぱたんと再び閉じられた扉の後、私も自室へ入りすぐさまベッドにダイブした。


『…ああもう…』


あのタイミングであの笑みは反側だ…!
無意識なんだろうな…あの嬉しそうな笑みに一瞬だけ見惚れたなんて。そのせいで反応が遅れたなんて。
赤司君はきっと自分の顔がどれだけいいのか分かってない。分かってない…!
しかもそれだけ言うために出てきたんでしょ。なにあれ可愛すぎる。
前は大体彼の行動も考えも少しだけ理解できたけど今回は難しいなぁ。全くってわけじゃないけど前より読めなくなった気がする。…すぐに読めるようにして見せるけど。
離れてたら、分からなくなっちゃうこともあるんだろうか…。

今は明日のことを考えて早く寝て、走って、朝食の準備をしなきゃな。紫原君は結構食べるし、目安として10人分くらい作らないと。足らないかな?
まぁ…あとは何とかなるでしょ。

ベッドから降りて着替えて布団に潜りこむ。目覚ましもセットして、ほんのりと暖かいそれに包まれながら眠りについた。





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なんか後半赤司寄りっぽいけど違いますちょっとあわあわしてほしかっただけですすみませんすみません!

って、やっと本編始まりました…。ここまでが長かった…(遠い目)




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