もう一度キミたちを知る | ナノ
ご飯にします

夜になって漸く全員集まり、今日から本格的にみんなで同居というのが始まる。正直わくわくでもある。実際、合否発表の日。全く気まずさを感じなかったし、このまま一緒にいても大丈夫かな…とも思ってしまった。
黄瀬君も帰ってきて早々ハイスピードで部屋を片付け、今はリビングにてこれからのことを話す。が、


「赤ちんお腹すいた〜」


それもそのはず、時刻はすでに7時45分。お腹も空く。
じゃあ、と自ら名乗り出て椅子から立つ。そのまま台所へと立ち冷蔵庫を開ける。い、意外と食材ある…。特に豆腐とか豆腐とか豆腐とか…。そういえば3日前くらいから赤司君が住んでるんだっけ?


『食材あるし私作るよ。とりあえず簡単なものだけでも』


袖を少し捲り、食材を少し出してまな板も出し調理にかかる。トントントンというリズムよく包丁で野菜を切っているとものすごく視線を前から感じる。
無視し続けるというものありなのだがものすごく…そう、ものすごくやりづらい。
チラリとみんなが座ってる食卓を見る。全員が私を見ていて少し肩が跳ねた。


『…えっと、なに?』

「いえ…」

「いや…」

「あー…」

「別に…」

「ああ…」


黒子君、黄瀬君、青峰君、緑間君、赤司君の順にそれぞれ微妙に言葉を濁らせてるが、その後に紫原君がお菓子を食べながら一言。


「卯月ちん奥さんみたい〜」


さらりと言われ一瞬包丁の動きが止まる。しかも普通に言っちゃうから余計に。
奥さんという単語に反応した黄瀬君、青峰君、緑間君がそれなりのリアクションをしてくれた。奥さん、ねぇ…。


『お母さんじゃないの?』

「ううん、奥さん」

『ふーん…』


奥さん…ね。女の私にはわからない世界なのか。男の考えることはよく分からない。
どう返していいのか分からず回答に詰まっていると黒子君が助け舟を出してくれた。


「ところで何を作ってるんですか?」

『んー定番ものー』

「定番ものですか」

『yes』

「やはり帰国子女は違うな」

「ですね」

『…ごめん私何も言ってないデス』

「照れなくても」

『照れてません!』


そろそろ学習しよう。もう英語言わない。向こうでの癖でまたからかわれる。
口は動かしているが手元は動きを止めない。合間サラダなども作り、あとは主食の出来上がりを待つだけ。ご飯は予め出来上がってたし、多分赤司君が研いだんだろうなと思う。
未だにお菓子を食べてる紫原君にそろそろ食べるのをやめてというと素直に聞いてくれた。いい子。
主食も出来上がりお皿に盛りつける。取り皿などもテーブルに置く。台所とテーブルを行き来してる間もなぜかみんなから視線を感じる。…そんなに変だったかな。

とりあえず食べてもらい、この家で生活するにあたっての役割分担を決める。やっと本題に入ることが出来た。あ、もちろん私も食べました。みんなもおいしいって言ってくれましたし。
チラリと時計を見ると針は8時38分を指してる。まだまだ大丈夫そうだ。


「それじゃあ決めようか」


大体の当番決め、始めます。







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