もう一度キミたちを知る | ナノ
整理整頓

いつのまにか寝ていたらしく目が覚めたらちょうど空港に着地したとこだった。着地を予感して起きたのだろうか…なんてね。


荷物を受け取りゲートを出ると、そこにはこれから一緒にいるかつての仲間と、新たに懐かしい面子が一人。
私に気付くと駆けより飛びついてくる。とっさに荷物を手から離しどさっ、という音とほぼ同時に彼女は私を抱きしめる。私は受け止める。少し後ろによろけたけど大丈夫。


「優ちゃんー!久しぶりー!!」

『久しぶり、桃井さん』

「もう!私のことはさつきって呼んでっていつも言ってるでしょ!」

『名前呼びは慣れないからごめんっていつも言ってるでしょ』


会うな否や、中学以来に言うそれにふふっと腕の中にいる桃井さんが笑う。釣られて私も笑う。
その様子を温かく見守る視線に気付き、桃井さんの後ろにいるみんなに視線を向ける。…一部だけ、のほほんとしたような空気に包まれてる気がする。誰かとは言わないけど。
何気にこちらに来ていた黒子君と緑間君が、私が落した荷物を拾ってくれる。
ありがとうと言ってもらおうとすると「持っておきます」とのこと。緑間君もそのつもりらしい。二人に別の意味でありがとうと言うと緑間君が「べっ、別にお前のためではないのだよ。今日の蟹座は女性に優しくするといいことがあるとおは朝が言っていたのだよ」と見事なツンデレをそういやこの前来た時あまり見てなかったなと心の中で思いながらもう一度ありがとうと伝える。


『さすがに黄瀬君は来れないかー』


パッと見たとき黄瀬君だけいなかった。いても目立つだけだから正直助かると言うか。
いつの間にか隣で歩いてる黒子君がいない訳を話す。


「仕事だそうです。ですがとても会いたがってましたよ」

『これから嫌でも毎日会えるのに?』

「それでも、ですよ」

「あ、テツくーん!」


そこで漸く黒子君に気付き黒子君に抱きつく。さすがは男の子というべきだろうか、それとも慣れなのか、急に抱きつかても微動だにしない…いやこれは相変わらずなのか。
胸の圧迫感から解放され、んーっと背筋を伸ばしてみたり。

空港を出るとまだ少し冷たい風が頬を掠る。少しだけ身震いしながらほーっと息を吐いて思うこと。
3年ぶりに日本で住むことになる。そして日常生活で常に英語という環境からも解放される。ということになる!それは正直楽だ。
既に捕まえてたらしいタクシーに乗り込み、まずは家へと向かった。
家前に着くとちょうど宅配業者の人が来ていて、多分みんなの荷物だろうと思う。この前送った私の荷物はすでに届いているので自分の部屋へ向かう。
「テツ君の部屋はどこ!?」と必死に探してる桃井さんを横目にそういえばと赤司君らを見る。


『荷物は誰が受け取ったの?』

「僕だよ。この家の主は僕だからね。3日ほど前からここに住んでる」

『ああ、ですよねー。…もう寂しくないからねー』

「何をバカなこと言ってるんだ。早く片付けろ」


即返してきたということは少なからず寂しかったんですね。分かりやすいやつめ。
どうやらみんなも今日かららしく、続々と荷物が届けられてる。黄瀬君の荷物が一番多くて、黒子君の荷物が一番少なかった。段ボールの数的に。
桃井さんは邪魔になるからと早々に帰ってしまい玄関まで見送った。扉を閉める際「また一緒にいれるね」と泣きそうな顔して笑うものだからついぎゅっと抱きしめてしまった。
見送り、赤司君に言われた通り荷物を片付けようと気合を入れる為飴をコロリと口の中へ放り込んだ。玄関先まで持ってもらっちゃった荷物は壁際に置いて、まずは近くにあるダンボールから順に荷物を開け、整頓していく。




◇ ◇ ◇




『……よし、終わったー!』


よくやったー!と体を伸ばす。疲れた。
時計を見ると5時間くらいはやっていたのだろうか。
ふー…と床に座る。ひんやりと冷たいフローリングが今は気持ちいい。ベッドよりもこっちが今は最高だ。うん。
部屋に入った時、段ボールの山よりもでかいベッドに驚いたけどねっ。あとで赤司君に聞いてみるけどねっ!
…あ、みんなはもう終わってるのかな。様子見に行こう…。


『…えっと、黒子君?』


部屋と廊下を挟む開けたらそこにはぐったりとしている黒子君。なんか部活の時みたいに死んdぐったりしてるんだけど…。
黒子君の横にしゃがみ込んでツンツン突いてから声をかけてみた。


『く、黒子君ー…大丈夫?』

「…う…。…あ、卯月さん…どうも」

『どうしたの?…疲れた?』

「…はい」


死んではいない様でよかったです。よしよしと頭を撫でて『終わったの?』と聞いてみた。弱弱しくも「はい…」と答えてくれたのだけれど、片づけるだけでこんなに体力使うだろうか?
「思いたったらすぐ実行」という言葉がある。ちょっと今はそれに乗っかってみよう。


『黒子君、部屋入ってみてもいい?』

「どうぞ…うぅ…」

『…大丈夫?肩貸すよ?』

「いえ、大丈夫…です」


全然大丈夫じゃない!
支えながら黒子君の部屋の扉を開ける。そこにはなんとまあ…。


『…何やってんの』

「!…って卯月かよー。驚かせんなって」

『ある意味こっちが驚いたけど。黒子君の部屋で何やってんの』

「いや…男のロマン入れ?」

『なんでロマン入れちゃうの』


普通は探すもんでしょと冷静に突っ込みつつ、部屋の状況を確認する。
まず椅子に座ってる青峰君。手には怪しい本。入る前の彼の視線の先はベッドの下。部屋のあちこちに段ボールが少しあるけどどれもからっぽ。何故かクローゼットも半開き。そしてちょいちょい散らかってる…ここまで整頓しよう。
まず黒子君は真面目に荷物やら置いてたと思う。片づけも終わり、段ボールを畳もうとしてるとこに怪しい本を持った青峰君が登場。恐らく隠そうとしたのか、黒子君にあげようとしたのか。いらないと言う黒子君を他所に青峰君がどこにしまおうと探す。黒子君は必死に抵抗するが、疲れたのか応援を呼ぼうとしたけど私の部屋の前で撃沈。黒子君が居なくなったところで安心して隠す場所をまた探す。けど今度は私が来た…ということかな?

さて…私がするべきことは…。


『…赤司君呼んできます』

「ちょ!?おい待て!」

「すみません…助かります…」


黒子君を抱えながら赤司君の部屋へ直行。
抱えると言っても肩を貸してるだけ。
慌てて追いかけてくる青峰君、時すでに遅し。ちょうど私の部屋と黒子君の部屋の間に赤司君が仁王立ちして背後に黒いオーラが見える。


「大輝…覚悟はいいな…?」

「ま、待て赤司…ぎ、ぎぃやぁぁああああああああ!!」








『さて、片づけるの手伝うよ』

「ありがとうございます」

『災難でしたね』

「ええ…」


その日、青峰君は星になった。













「なってねーよ!!」

『あれ?違うの?』

「お前な…」







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