10萬打御礼 | ナノ
 #紫原寄りor陽泉と!

「なまえちんて冷たいグミみたいだよね」

「…は?」

人を湯たんぽのように膝の上に置いて抱きながらお菓子を食べて、かなり頻繁にお菓子のカスが頭上に落ちながらもそれを払い、耐える私にいきなり意味の分からんことを言うのか。黙って見上げていれば「あれ〜知らない?」と聞いてくる。知ってるわ、小さい頃よく食べてたんだから。今は夏に食べるのがお気に入りだよ。…最近食べてないな。

「突然なんなの」

「言葉のまんまだよ〜。ね、室ちん」

「…ああ、そうだね。ぴったりだ」

氷室さんまで…だと…。一体何なんだ。言葉のままってなんだ、冷たいグミと言ったら…あれか、冷たいと言いたいのか。そうなのか、そうなんだね?お菓子に例えての悪口か!すっごい遠回りじゃないか!いやそれよりもこうも近くに置きながらそんなこと言われると思わなかった…。

「今絶対なまえちん誤解してるー。ちゃんと聞いて」

「えぇ…」

「ふふ」

氷室さん何がおもしろいの…。何もおもしろくないよ。
別に悲しいとかショックを受けてるとかじゃないけど、ただ単に目の前にいながらそんなこと言う衝撃がでかいだけで。そういうの、別に平気だし。言わせておけば。ただ目の前って。目の前って。
一応聞くけどさ。

「あれってさー振って食べると冷たくておいしいでしょ?それでいろんな味があるの。ね、なまえちんみたい」

「ごめん全然分からない。もう少し砕いて」

「えーめんどくさい…。んーだからー、最初冷たいけど、すっごくおいしいの。味もいっぱいあるし、飽きないしー?」

「つまり、初めて会ったとき君はとても冷たい人だと思った。けれど蓋を開けてみれば、そんなことなくて、むしろ暖かい人で兄妹だなって思ったってことだよ」

「氷室さんの言ってることも7割分かりません」

冷たいは置いといて、暖かいって駄目じゃない?お菓子的に。最後なんて無理矢理な感じもするし、何がつまりなんだろう。解説しようと思ったのはよく分かったけどそこだけなんだよね…いや理解できない私が悪いのか…?
頭を悩ませていると紫原がどこから取り出したのか飴をくれた。どこにあったんだその飴。ここにはそんなものなかったはずだぞ…だが遠慮なく頂く。その様を見ていた氷室さんがまたクスリと笑った。

「ほら、冷たくない」

…あー、なんとなく、漸く理解できた気がする。ただの冷たい人なら飴を差し出されても素直に受け取りはしない。更に言うなれば紫原の膝の上になんて黙って持ち上げられたとはいえ大人しく座っていないだろう。そういうこと?
包みを破り、中身を口に入れたばかりの頬を突く紫原はちょっと楽しそうに見えた。その手に空っぽの包みを押し込み制止する。だがあっさりとその手は氷室さんの方へ行ってしまい、空の包みは手渡されてしまった。そして再び頬を突かれる。ねえ待って地味に痛くなってる。飴が食べづらくてかなわん。見なくても眉間に皺が寄っていくのを感じる。

「お前ら程々にしてやれよ」

そこに鶴の一声ともいうべきか、見兼ねた福井さんがこちらに近づきながら注意する。はっきり聞こえているはずの紫原は注意されてむっとしているのか、頭に顎を乗せたかと思えば頬を引っ張ってくる。私が引っ叩いてやろうか…?ぐっ、と拳を作る。

「アツシ、そろそろstopだ」

「えー」

とか言いながらやめてくれるんですね。少しとはいえ顎が乗っていた頭を擦りながら顔を上げる。今の行動にはさすがに一言申させていただこう。

「さすがに今のは痛かったわ」

「ごめん」

…素直に謝れると何も言えなくなるんだけど。
ぐっと押し黙っているとずっと黙っていた残りの二人が一息つきながら一言。

「平和じゃな」

「平和アル」

今度こそ勢いよく膝から退いた。



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リクエスト内容「紫原寄りか陽泉との話」でした。リクエストありがとうございます。大変遅くなってしまい申し訳ありません…!!

どうしようか迷ったんですけど若干の寄りと、陽泉チラ、という形に収まりました。あの中にいたらきっとほのぼのすると思う。そんな思い詰め込みました。一息つけたらいいね。

リクエストありがとうございました。
これからもよろしくお願いします!

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