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「…というわけでして」
カチャとカップをソーサーに置く音と少女の声が部屋に響く。
「アリスさんは現在ブレイクと共にチェシャ猫のもとにおりますわ」
表情一つ変えずに淡々と説明した。
現在私はあと後オスカー様の一言もあり、レインズワース家の一室にいる。
一見部外者の私がどうしてここにいるのか彼とギルバートは不思議でいっぱいのはず。オスカー様と目の前にいる少女は理解してくれたみたいだ。
訳は後でオスカー様の口から伝えられる予定だ。今はそれどころじゃないからね。
話を戻すが少女の話を聞いてギルバートは頭を抱えている。彼は…読みが鋭いらしい。
彼らより離れてドア付近にいる為会話は聞き取りずらいが大体察しはつく。まぁ聞こうとしてないと言うのもあるが。
おもむろに少女――シャロンが立ち上がり暗いカーテンの中に入った。彼が何かに驚いている様子から恐らく彼女の中にいるチェインの力を出したものだと思われる。
ニコニコとカーテンの中に入ろうとする彼と一度止めるギルバート。そんな彼らの居る方へゆっくりと近寄る。嫌でも会話は聞こえてくる。
「ならオレが一人で行く。おまえはここで…」
「オレはアリスの契約者だ。オレが行かなくちゃ意味がない」
ギルバートの言葉を遮るように彼が言葉を被せた。
私が聞いてても意味がないだろうと、シャロンに一言言って先に行かせてもらった。
そう言えばまだ彼らに自己紹介もしてないなと頭の隅で思いながら、黒い穴の中へと飛び降りた。
ああ、少し嫌な感じがする。
◇ ◇ ◇
「あれ、さっきそこにいた子は?」
「先に行きましたわ」
「何故部外者を行かせた。ましてやさっき会ったばかりのやつだぞ」
「彼女は立派な関係者です。それに彼女も一応パンドラの者なんですのよ」
「なっ」
「え、あの子がパンドラ公務員だったことにも驚いたけど…ギル知らなかったの?」
「…知らん」
◇ ◇ ◇
「……なんだおまえか」
『ええ私よ。あの子は?』
「あっち」
『そう。…もう一人はどこ?』
「鏡の中」
『ふーん…じゃ、気をつけてね』
相変わらず冷たいのね。
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短いですねすみません。区切り方わかんね。
そろそろあの話題に触れてみたいです。
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