真実を欲して | ナノ


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それから痛い視線を浴びながらもただ前を歩いていく。
時折周りを見ては手を強く握られ、私はただ苦笑いしかできない。
この子おもしろいな、そう思えた時だった。

突然私はピタリと足をを止めたことに疑問を感じた彼が後ろから声をかける。


「どうしたの?」

『…ごめん、どうやらここまでみたい』

「え?」


はぁ、とため息を吐いてもう一度言う。
ただし言い方を変えて。


『私が君を送ってやれるのは此処まで』

「え、なんで!」


パッと手を離しくるりと振り返り理由を述べた。
元々私が一方的に掴んでいたため、簡単に宙を泳ぐ彼の手。


『…お呼び出しくらっちゃった』


とわざとらしくちろりと舌を出してみせる。
よくよく考えたら見えないんじゃないか。いやギリギリ見えるかな。

今来てる服は喪服のようなもの。顔は帽子で隠してる。半分程。
って、今はそれどころじゃないよね。

向こうからチェインの反応あり、どうやらこちらに向かってきている様子。
多分大丈夫だとは思うけど安全な場所へ誘導…しなくてもいいか。


『あっちにいけば(それなりに)安全(だと思う)よ』

「君は行かないの?」

『言ったでしょう。呼び出しくらったって。ほら早く行かないと…』


一旦区切りをつけて軽く息を吸う。







『いけない子たちが君を食べてしまうよ?』


言い終えたと同時に遠くから大きな足音が聞こえる。
きっとこの子は生き残れる。そう信じて。


『頑張ってね。オズ・ベザリウス君』


先よりも近くなってる足音を背に私は更に“下”へと堕りた。
彼なら大丈夫。…多分。




一瞬だけ見えた彼の顔はおもしろいほど驚いた顔をしていた。
恐らくなんで名前を知っているの、という顔だろう。



ああ、このことを早くあの子に言いたい。
それから謝らなければ。


彼を君の元に届けることが出来なくて、ごめんね、と。



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