▼ Retrace:T
酷く雨が降る成人の儀式の際中。彼らは突然現れた。
人々の時を止めた彼らは、時が止まってない少年を囲み、存在自体が罪だと言う。
突然のことに思考があまり追いついていない少年は無我夢中。
また一人の少年の裏切りには酷く笑ったものだ。
でも少年はその少年を信じていたため、その少年は意識を取り戻した。
剣を持ち、彼らに立ち向かう姿には驚いたけれど、先ほどの少年が彼らを庇う。
恐らく先ほどの雷の光でその隠された顔が見えたのだろう。
だが振りかざされた剣はすでに遅く。
その少年を切ってしまった。
そのことに悲しみと後悔と…絶望と。
それから程なくしてアヴィスに堕とされた少年は今何を思うのか。
◇ ◇ ◇
最初から最後まで見ていた私は最後に残った彼らと、倒れた少年を遠くから見ていた。
そう。これは正しい事なのだと誰かが言っていた。
そうだな…。暇だしちゃんと届いたか様子を見に行こうとその場を立つ。その瞬間。
《どこにいく》
私の後ろに立った彼らの仲間の一人が話しかけてきた。
『…様子を見に行くだけよ』
《…………》
何も言わず消えたのを確認してから私も下に堕(い)く。
少しだけ倒れている少年の事が気がかりで一瞬だけチラリと見た。
まぁ、死ぬことはないけど一応大丈夫かな、と…。
なんとなく、最初からそう決まっていた。
…おかしいね。
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