好きって10万回言える


『悪いと思ってるなら直してよ。じゃなきゃこれからも同じことを繰り返す』

やっと話し合いが出来る機会を得たわけだが、これはとんだ爆弾発言を投下されたものだ。
言ったらあれかもしれないが、これでもみょうじと話すのは半年近く振りで、怒らせたくはなかったので慎重に言葉を選んで話していたつもりだ。
だが何がきっかけかは知らないがみょうじの怒りが爆発したらしい。反抗的な目、反抗的な態度。あの日のようにみょうじは怒ってしまった。…いや少し違う、か?何にせよみょうじを怒らせてしまったらしい。
けれど今はそれどころではなかった。みょうじの発言に俺は目の前に集中できない。

“これからも同じことを…”

これからもということは、この先も俺たちは一緒にいると考えてもいいのか。俺たちは喧嘩をして、別れたなんて噂されて、たとえ気持ちはそうでも…まだ俺たちは付き合っていると思ってもいいのか?
正直俺の中では自然消滅したのではないかと思っていた。だが彼女はそうとは思っていなかったんだな。あれはそういうことだろう?
口角がゆっくりと上がっていくのが分かった。

これは嬉しいかも、しれない。

「みょうじ」

俯いた彼女は何の反応も見せない。
その方が今は好都合だった。こんな緩みきった顔、見せられない。けれど彼女の顔見て言いたいことがある。だからどうか顔を上げてほしい。

「話を、聞いてくれ」

ゆっくりとみょうじに歩み寄り、手を伸ばした。



(聞いてくれるか。何度でも言おう。言うから)


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