そうして繋がる
no.(08 / 22)  

※赤司視点




「はあ…」

ここ数ヵ月、全くと言っていいほど部活だけ集中できない。授業はまだ平気だ。一部例外はあるものの、姿も見ることはまずないから。

事の始まりは去年の秋頃。突然征夜が俺と距離を取り出した。始めは思春期の類かと思い、気にもしていなかったが、それが一ヵ月も続くとさすがに疑問に思う。俺が思っている思春期と何かが違った。
顔も見せてくれないし家の中にいても避けられているように征夜を見なくなった。それでもいつかは以前のようになるだろうとこの時の俺はまだそう思っていた。

一年の冬。俺は実の妹である征夜に恋をしていることがわかった。
きっかけは会えない時の寂しさを感じていることだった。けど部活中や休み時間や廊下からたまに聞こえてくる征夜の声や名前にどくんと、まるで体全体が心臓になったかのように反応する。体が大きく跳ねるのだ。この感覚が不思議で不思議で堪らなかった。
数週間もすれば今日は聞けるのか、今日こそは会えないかと、まるで小説に出てくる女子に恋してる一人の男子だった。
妹に恋するなど馬鹿げてる。だが恋と言われればスッと胸に落ちてくる。ああこれが恋なんだと。…しかし相手は選んでほしかった。

そして俺は妹に恋したまま約4ヶ月経った。と同時に約6ヵ月ほど征夜に会っていない。そして運よく今年から征夜は陸上部の主将となった。部こそ違うが、会える機会が増えた。月に一度行われる部長会議。部長同士が集まり、その日の課題次第では話す事もできるかもしれない。

「赤司、聞いているのか」

「っ、ああ、すまない」

「珍しいな。少し休むか?」

「平気さ。少し考え事してただけだ」

「ならいいが…」

そう言えば緑間がじっと俺を見つめたあと小さく息を零した。

「溜め息付くと幸せが逃げるぞ」

「赤司も人のことは言えない。先程付いていたのだよ」

「そうなのか?」

「……」

何か言いたそうな顔をしている緑間から視線を外しコート内へと視線を向けた。
どう見ても突っ走りすぎの青峰、シュートしようとした青峰のボールを弾いた紫原、ボールを奪おうとする灰崎。
ノルマもクリアしたことだ、そろそろ休憩を挟むか。笛を鳴らし休憩の合図を送るとぞろぞろと一軍選手がベンチに戻ってきた。ここにアイツが来たらきっと面白いチームになるだろう。休憩中だと言うのにスポドリ飲んでからボールを持ってコートに行く青峰。それを止める緑間。

「あと3週ー!」

外から大きな声がする。…征夜だ。心臓が大きく跳ねたのが分かる。誰にも気づかれてないといいが。自然な動きを意識し外へ視線を向けると陸上部の部員たちは走っている。今はランニングだろうか。それにしてもよく走るな。
先頭を走る征夜、と横に最近よく見る顔…確か田沼だったか、俺と同じクラスの人。アイツ陸上部だったのか。それとその後ろに神崎…という奴。意外だな、二人もいた。まぁ彼女らがいるおかげで俺は征夜の声が聞けるんだが。

「赤司?」

隣にいた緑間が俺を呼びとめた。ふふ、また考えすぎてしまった。

「次はミニ試合をしようか」

耳は外へと向けて、俺は手元のボードへと視線を向けた。


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