彼の友人だそうで
no.(03 / 22)  

2年になって進学と共に1年間一緒だったクラスとお別れの季節。そう、クラス替えの時期がやってきた。
こういう時、双子は絶対に同じクラスにならないからありがたい。だがしかし今年はここ数ヶ月も片思いをしている人が隣のクラスとなってしまっている。つまり体育の時顔を合わせるかもしれない。それはあくまでも可能性だけど。
うちの学校は2クラス一緒に授業することが多い。良くある話だと思う。

クラス表を見て自身のクラスの自分の席に座る。これから1年を共にするクラスを軽く見渡すと、珍しい、カラフルな色がちらほら…私もどちらかと言えばカラフルな類に入るが、こんなにカラフルだと…いつか片割れが言っていた言葉にもあった…えーと、ほら、そう、

「キセキ…」

「っなぁお前!」

突然目の前に人影が現れ、机をバンッと叩いた。…音がすごかったが痛くないのか。
視線を上にずらすと肌は黒いのに髪の色は青、とまぁなんともミスマッチな色がそこにあった。そう言えばこの人何処かで見たことあるようなないような。

「…何?」

突然現れた人物にあくまでも冷静に答える。目の前のコイツが突然大声を出したせいでクラスの半分がこちらに視線を向けている。私はすでに確認済みだが、コイツは気付いているのか?注目の的にはなりたくないのにコイツのせいで……少しイラついて来た。

「お前…







赤司の親戚か!?」

「は?……あぁ…」

一瞬コイツが何を言ってるのか分からなかったが、その代わりと言っていいほどににコイツの名前を思い出した。確か「青峰大輝」と言っていたかな。
以前、片割れが楽しそうに今のチームの事を教えてくれた。この肌と髪色からするに名前は間違っていないはず。その片割れの話ではコイツはとんでもないバカだとか。まさかそこまでバカはいないだろうとその時の私は思っていたが今確信した。コイツはバカだ、と。
まあコイツの言うことも分からないこともない。考えれば双子ということを知らないやつなだけかもしれない。仮に知ってはいるとしても、コイツの目にはあまり私たちは似てないのかもしれない。
とにかく「バカ」ということで青峰という名前を思い出せた。

「親戚…そうね…」

先ほどのイラつきもあるし、何処までバカなのか実験してみようと思う。
「妹」であることは絶対に言わず、いつ気付くか。バカでも気付くとは思うんだけど…っていうかさっきから体近い。あと眩しい。

「にしては赤司に似すぎだよなー…」

「そう?」

「おう。顔とかその目と…か……」

まあ一卵性だし。と心の中で言うと何かに気付いたのか語尾が小さくなっていった。次第に私の顔をまじまじと覗いてきた…だから近いって。どれほど近いって視界にコイツしか映らないほど。無意識に眉間にしわを寄せていくと「あ!」と声を上げた。目の前で声上げるな。うるさい。

「お前もしかして赤司の妹…!?」

「あら、知ってるの」

「赤司のやつがたまに喋るからな…。つかなんで先に言わねえんだよ」

「その方が面白いと思って」

ニコリ、と片割れにもよく似ていると言われる笑みを付けた。それにひくりと口元を歪ませながら「性格も嫌に似てんな…」と苦虫を潰したような顔になった。
それ、今の私には褒め言葉にしかならないからね。

「あー…俺、青峰大輝。アンタは?」

「赤司征夜。君のことは兄さんからよく聞いてるよ」

「へぇー、なんて?」

「すごいバカだと聞いている。本当だね」

「なっ!!」

期待した目から一変、焦ったような怒っているような目になる。コロコロと表情が変わる。片割れが、青峰の話をする時少し楽しそうに話していたがなんとなく分かった。
気付かれないよう、口元を緩めた。

そういえば笑うのって久しぶりかも。ずっと想い人の事ばかり考えていたから。
今でも私に話しかけてくる青峰はこの際無視でいい。どうせ聞いていようと聞いてなかろうと同じでしょう。でもそろそろうるさいから黙らせようかな。

「そーいえばよ、赤司のやつここ最近変なんだよ」

「…兄さんが?」

あまりにも突然に片割れの話になり反応してしまった。ああもうほんと好きだな、と実感してしまう。どうしてこうなったんだか。そうは思いながら青峰に続きを促す。

「たまに外を眺めている時に限って、呼び掛けてもちっとも返事してくれねぇんだよ。前まではそんなのなかったんだけど」

何か知らないか?と聞いてくるが、生憎ここのところ兄と会話…ましてや顔も合わせていないのに分かるわけがない。けど確かに変だな…。頭の隅に置いときながら言いはしないけど謝っておく。

「知らないわ」

あの兄が放心状態、ねぇ…。何か変なもの食べたんじゃない?と言うと俺じゃあるまいしと返ってきた。一回コイツは変なものでも食べたんだろうか。

これからの会話はもう聞かぬと窓の外へ視線を動かした。
さて、今日の部活はどうしようか。


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