迷って巡る軌跡を辿れば

Step.1 拉致からの放置プレイですか 1/2

※attention!※
この話は「深淵を覗きこむ」に出てくる夢主が出てきます。そちらを読んでいなくとも大丈夫なようにはしております(ただし一部違う点がございます)。
例の如く「ww」が大量発生いたします。苦手な方はご注意を。
タイトル横にも書いてあった通り刀剣乱舞とクロスオーバー。更にはブラック本丸ネタとなります(ブラック企業的なアレ)。刀剣乱舞を知らなくても多分大丈夫ですが、キャラクターの言葉遣い、性格などについては二次創作(言葉遣いは出来る限り原作通り)ですのでご注意ください。
元ネタはこちら
やらかしました。

長くなりましたが、何でも来い、大丈夫ばっちこい!な方はこのままお進みください。





珍しく休みが重なって二人で買い物に来ていた。目的は両親の結婚祝いへの贈り物、兼お世話になってる日頃のお礼。ま、気持ちねーと二人で照れ隠しに言い合ってた。不思議だね、日常が変わるとこんなにも懐かしく思えるのだから。
二人で買い物に来ていた、のは間違いない。どちらも私服姿である。学校帰りのような制服でもなく、部屋着でもない、ちゃんと外出用の服だ。片割れがイケメンと呼ばれる部類なので、自分もそれなりに合う服を見繕って二人で買い物に…よくよく考えてみればすごく久しぶりだったかもしれない。にも拘らず、今どうなっているのかさえ理解できない。

まあ落ち着こう、現状整理だ。二人で買い物に来ていた。これは間違いない。色々回って行ったがなかなかいいものが見つからず、休憩しようかとなった時、突然目の前に真っ黒のスーツにサングラスをかけた明らかなに危ないおじさん(たぶんお兄さんな年齢だろうけど)に突如拉致られ気付いたら全く見覚えのない場所にいた。…この辺何言ってるか分かんないね、私も分からないや。
拉致、っていう言い方はあってるだろう。だってあの変なおっさんが来た途端に空気が変わったんだから。辺りを見てみたらあらびっくり、数秒前までいた賑やかな外とは違い、全くの無音になんか訳の分からない場所。いや目の前に横長の机に座るおじいさんたちらしき人間が数人こっちを見てるけど。反対を見ると和成もいた。いやよかった、私一人だったらどうしようかと。…いやこの場合私一人のほうがいいの?まあいいや。和成もこちらに気付くと眉間に寄せてたしわをふっと消した。どうやら一人じゃないことに安心したらしい。私と一緒だ。
ちょうどその時前からしっぶい声が聞こえた。言い換えるとなかなかにいい声ってことね!って喋った!

「君たちには審神者の素質がある。よってこれから歴史修正主義者と呼ばれる者たちと戦ってもらおう」

え、なんですかなんですか。この突然語りだしたおじいさん。さにわ?そしつ?れきし、なんとかって何ですか。状況も全く読めないまま、こちらの様子などお構いなしにぺらぺらと話すじじい。やばいこっちの方がしっくりくるぞ…!
ぽかんとしたまま一方的な話は終わり、最後に「分からないことがあればこんのすけに聞けばいい、」とか何とか言ってどっか立ち去ってしまった。今の心境を言うとね、RPGのプロローグ的な何かですね、もうわけがわからないよ。

ついでに私たちの後ろに何か出てきてそこに二人押し込められた。抵抗する間もなく、変な感じを一瞬感じながら地に足が着いた。
閉じていた目を開けたらまたもやびっくり、辺りは真っ黒(悪霊いそう)、木らしきものは細くて枯れ(触っただけで折れそう)、地面はもはや砂漠に酷似している。そして目の前に見えるのが絶対出るであろう日本屋敷があった。風もない、緑もない。あるのは空気と黒い靄とどこかに何かいる気配。
それらを見渡しどれくらい経っただろう。1時間…は経ってないだろうが、何せ暫く動けずにいた。何をしていたか?多分状況と頭の整理だと思う。ごめん何も覚えてないわ。ちょっと手がピリピリするけどまあ動けば治る。そして私はゆっくりと息を吸う。

「ここどこだよ!!?」

「ぶっふwwwwwwwww」

あっ和成いたの忘れてた。



プロローグ:
初めまして、ブラック本丸さん



さっきまでの無言は何だったのやら(いや恐らくこの状況に頭が追い付いていなかっただけだろうけど)、腹を抱えて笑う和成とそれを呆れた目で見つめる私がいた。今のどこがツボったのかは知らないけど、このままにしておくのも、あれだよね。この日本屋敷と思われる場所に人がいるって話だし、これだけゲラゲラ笑う声が聞こえたら中から誰か出てきてもおかしくはないのだが。…無反応って少し怖いな。訳あり、とも聞いていたけどそのせいだろうか。
まあいつまでもここに突っ立っているわけにもいかない。

「笑ってるとこ悪いけどそろそろ中入ろう?」

「お前がww突然言うからwwあーもう!」

笑うか喋るかどちらかにしよう?と言ったらひーひー言いながらも笑うのをやめた。相当笑ってたからね、こりゃ腹筋も鍛えられたな。未だ笑いが来るのか口元がにやけている。…そんなにおもしろかったかな?

「ここにいるこんのすけてやつを探そう。行くよー」

「らじゃーww」

黒い靄を無視し、玄関であろう場所の前に来た。見ただけでも分かるんだけどこれ…赤いものが付いてるんですけど。べったりってほどでもないが、べちゃって感じにところどころ付いている。最近のものじゃないことは素人でも分かった。

「ここすごく物騒だね」

「だな。お、開くぜ。お邪魔しまーす」

…扉触るの躊躇してたのばれたのかな。先に入っていく和成の後を追いながら中を見渡した。いやここもなんかすごい。なんかもう汚い。赤いものとかもそうだけど、なにより掃除されていないのがよく分かる。ここに住んでる人はどういう神経をしてるのかな?と疑いたくなるレベルで汚い。悪いが失礼を承知で土足で上がらせてもらうことにした。こんなところ靴を脱いで歩きたくない。掃除はするから許しておくれ。蜘蛛の巣もあった。これじゃ日本屋敷というより古い日本屋敷だな。
歩く度に鳴る木の音を聞きながら進んでいく。時々二人で喋る以外何も聞こえやしない。ここには人がいるって聞いたのに。不気味、とも言う。人一人声がしない、気配がしないなんて、怖すぎるだろ。

「やっぱ出るでしょ」

「それ俺も思った」

まあ廊下を歩いているだけじゃ何も誰にも出会えないので、適当に傍らにあった襖を開けた、らいた。まさか本当に出るとは思っていなかったので肩が少し跳ねた。ついでに言うとここにいた数人も少し驚いていた(ように見えた)。広い空間に男の人…と女の子?らが何十人といた。どの人も服がちょっと変わってる。和服…が多いのかな、と言うか時代…いや着物着る人いるし…ここまで変わってないけど。でも動きやすそうなものが多い…のかな。とりあえず個性があって素晴らしい、と言っておこう。

「あ、どもー」

とりあえずといった感じで和成が先に挨拶すれば、瞬時にに刺すような視線はあちこちからきた。多分これが殺気、というものだろう。やっべ初めて味わった。ていうかこの人たちを怒らすようなことしたっけ?してないな?土足で勝手に上がってきたことに怒ってる?…短気な人たちだなあ。いやさすがに冗談だけど…当たってたらどうしよう。
視線をたくさんが感じながらどうしたものかと黙り込んでいた。すると部屋の奥から男の声がした。

「…何用だ、人間よ」

そちらの方に視線をやると、かなり昔の服装に見える人たちがそこにいた。誰が喋ったかまでは分からないけど、たぶん、なんとなく私の知ってるやつに似てるなって思った。もちろん和成も知ってるあの人。声にも少し威圧的なものも感じる。彼もできたよな…どっちかっていうと目でだけど。
特定できないのが残念だけど、声のしたほうを見ながらその問いに答える。…和成が。

「こんのすけって人?を探してるんすけどここにいます?」

「こんのすけ?…あやつなら、」

「ここだぜ」

また別のところから第3者の声が入るった。少しずれたところに話したであろう人物がいた。金髪で、片目が隠れている、黒い服装の人。わあ、あの服かっこいい。
ここ、というのが彼の膝。少し持ち上げられているが見るからにぐったりしていて動かない。っていうかこんのすけって、

「え、狐?人じゃないの…」

「俺もてっきり人だと思ってた」

「と、とりあえず行くわ」

「え?どこに、っておい!?」

こんのすけっていう狐?をもらいに金髪の人に近づくためこの部屋に数歩、足を踏み入れた。途端最初よりもざくざくと刺さる殺気たち。それとは別の理由で足を止めた。部屋は広いけど、それと同時にこの部屋にいる人たちも多い。金髪の人までの道もなく、結果数歩進んだだけで止まってしまった。仕方ない…。

「すみません、こんのすけ?を投げていただけませんか」

「は?」

「ん?ああえっと、聞いたところによると人間が嫌いと聞いたんですけど、これ以上近づいてもいいんですか?と言っても人多くて無理なんですけど!てわけで投げてくださいお願いします」

「あれ、そんなこと言ってたっけ?」

「言ってたよ?(たぶん)あんた何聞いてたの?」

「あー…手入れ?とかなんとか」

「…そんなことも言ってたっけね。とりまこんのすけから聞いとけとか」

「お前も人のこと言えなくね?」

「ん〜?」

言ってることに間違いはないので、すーっと和成から目を逸らした先にぽかんと呆気に取られてる様子の人たちが見えた。しまった、うっかりいつものペースに入ってしまった。腰に携えてる刀が抜かれてなくてよかった。手は掛けられてるけど。抜かれていたら今ので死んでたぜ、危ない危ない。…とこんなのが命取りなんだろうな。

「すいません、投げていただけません?」

「あ、…おう…ほらよ」

「っと…ありがとうございます」

こちらに投げてくれる一歩前、昔の服装の人たちをちら見していたのをばっちり見てました。アイコンタクト出来るんだ、かっけー。しっかり受け取ったこんのすけを持ち直し、和成の方へ戻った。ほぼ最初にいた場所に戻ってきたことになる。

「これがこんのすけ?近くで見るとますます狐みてー」

「もふもふだ。気持ちいい…」

「マジ?どれ…おおお…!」

その狐はあの金髪さんの膝にいたせいか、ぬるく暖かいがどうしてもこれが生きてるようには見えなかった。重みは確かにあるけど、呼吸も僅かにあるみたいだけど、生きてるとは言えなかった。なんだろう、魂だけないみたいな?ごめん分からん。どうして起きないの、とぼやけば最初こちらに声を掛けたあの声がまた聞こえた。

「…それは既に霊力を切らしておる。式神だからな」

「…よく分からないけど、どうやったら目を覚ます?さすがに死んではいない、ですよね?」

途中までタメだったが慌てて敬語に戻した。声のしたほうへ目をやり、漸く声の主が分かった。昔っぽい服装、江戸、いや戦国…いいやもっと昔…の服装で青っぽい服装の人。部屋がちょっとくらいからはっきりとは分からないけど、顔はとても綺麗で整っているようにも見えた。イケメンというより美しい?ここどうなってんだよ!さっきの金髪も顔はいいしさ!イケメンとか見慣れてますのでもういいけど。

「それに霊力を注げば、あるいは…」

「霊力!?注ぐ!?どうやって!!」

「俺に聞かれても困るんだけど。落ち着けって」

「ん、」

霊力を注ぐとかどうやるんだよ、ていうか霊力て。霊力て。私零感のはずだけど。とりあえず分からないから必死で撫でて目を覚ませと念じてみよう。念じることにも意味がなんちゃらってどっかで聞いたことあるような気がする。
撫でるたびに思うのが指の隙間をさらさらと通っていくこの感じ、ものすごく気持ちいい。さらさらで、もふもふで、ちょっと暖かい。ところでこの顔?ってどうなってるんだろ。お面?模様?なんにせよ奇抜ですね…。趣味だったらどうしよう。あ、待って。

「狐にどうやって聞くんだろ。狐語?」

「あーそれな。動物が喋るわけないもんな。てことは通訳でもいるのか?」

「通訳なんている……お?」

「ん?」

話してたら、腕の中の狐がピクリと動いた(気がする)。撫でていた手をやめ、狐を眺める。次第にゆっくり開く目に小さくおお、と感嘆の声が洩れた。ぱち、ぱち、と瞬きした後こちらを見上げ、ぎょっとした感じで飛び跳ね、落ちた。…もう一度言おう、落ちた。

「ぎゃっ」

「えっ大丈夫!?」

「だ、大丈夫でございます…うう…」

…ん?あれ、ちょっと待って。

「喋った!!」

「やべえwwこれ何のドッキリ?www」

笑う和成と驚く私。そっと和成の服の袖を持った私のことはスルーしておくれ。驚いたが、ちょっと怖いだけである。大丈夫、すぐ慣れて見せる。

「審神者様、審神者様で有られますか!?」

「ごめんさにわってなに?」

「その前に貴方がこんのすけ?」

「はい!私がナビゲーターのこんのすけでございます。本来ならば入り口にてお待ちするところ、お恥ずかしながら前任者の行いにより私は動けぬ身となり、お出迎えが出来ませんでした。申し訳ありません。…審神者様が霊力を分けてくださねば、私はあのまま動けぬ式神となっていたことでしょう。心よりお礼を申し上げます!」

「う、ん?注いだ覚えないけど、よかったね…?」

「いえいえ、審神者様の暖かな体温から流れ出てきた霊力、お優しくとても暖かかったです。…ところで、今回の審神者様は何故にお二人で?」

「それは俺らにも分かんねえ。いろいろ聞けって言われてんだけど、その前に後ろ見たげてwwぽかーんだからww」

「へ…?」

狐、もといこんのすけは先程までぐったりしていたのが嘘の様に元気に話し出した。顔からしてそうだけど、やっぱり本物の狐じゃないんだ…自分で式神って言ってたし。なんかいろいろ納得。喋ったり、言葉を理解したり。
目を覚ましてくれたし、この子からいろいろ聞けばいいんだろうか。ものすごく質問攻めすると思うんだけど大丈夫だろうか。……大丈夫と信じて!

それはともかく、こんのすけが起きてから背後にいる人たち全員がぽかんとした感じでこちらを見ていた。正確にはこんのすけを見ていたんだろう。和成に言われて振り向いたこんのすけは相当驚いたようで体丸ごと飛び跳ねてた。その様子に私は俯き、和成は顔を逸らし、それぞれちょっとだけ吹いた。やべーおもしれーと和成が小さく言った。私も同意だ、と頷いた。
その間にこんのすけは謝って、またこちらに向き直った。後ろ姿も可愛い、もふもふ。尻尾もふもふ。

「それでは審神者様にはこれからの事をお話しいたしますね。ところで自己紹介は済んでおられますか?」

「…いや…」

「審神者様が二人では刀剣男士たちも呼びにくいことでしょう!ここは一つ、自己紹介を、」

「じゃー俺から。俺はたk「っこの馬鹿!!」いっでぇ!?」

懐からハリセンを出し、すかさず和成の頭を叩いた。どこに持っていたかって?そんなの企業秘密だよ!!勢いのまま振り下ろしたからものすごい風と、とてもいい音がこの周囲に響いたよ。ってそうではなく!

「あのおっさんたちの話聞いてた?名前は言っちゃダメって言ってたじゃんかこの馬鹿ー!」

「分かった、分かったからハリセンしまえ!いっでぇ!」

「つかどこから出したそのハリセン」と和成が言うが同じく企業秘密と答えておいた。相当痛かったようでちょっと涙目気味になってしまっている。正直すまんかった。
さっきよりも声のトーンを押さえ、名前を言ってはいけない理由を告げた。神隠しとか、要は縛り?にあわないための保険だとか。なんでそんなことしなくちゃいけないのか分からないけど、ダメってあのおっさんたちは強く言ってたし意味はあると思う。
説明中、何かにツボった和成が口を押さえて必死に笑いを押さえてたけど、抑えてる時点で駄目だと思うよ?

「それ真似?真似なの?そろそろ俺の腹筋が壊れるんだけど?」

「あらいいじゃない。腹筋が鍛えられるでしょ?今この間も練習よりいいのでは?」

「口調もw真顔でwwwひーっwww」

笑い袋が限界突破したらしく腹抱えてまたひーひー言い出した。こりゃ暫く無理だと判断した私は小さく息を吐き、部屋の中へと向き直った。

「自己紹介…及び呼び方は考えとく。今一度状況を理解したいから退くわ。ほら行くよこの馬鹿。笑い過ぎ」

「だっておまwwwwぶっはwwww」

「…あ!お待ちください審神者様!」

和成の腕を引っ張りながら部屋を出て行った。一拍遅れてこんのすけも着いてきて、審神者の部屋に案内すると言って先頭に立った。歩く度にふりふり揺れる尻尾がまた可愛い。後で触らせてもらえないだろうか。お願いしたら許可くれないかな。ところで審神者の部屋って何だろう。彼らにも部屋はあるのだろうか。

結局あの人たちの殺気は最初と部屋に入った時のみ。それ以外にも近づいてほしくなさそうな雰囲気がびんびんだったし、できれば私らにもいてほしくない感じだった。…それについては後で説明しよう。話が通じない奴らでもないだろうし、話が出来ないわけでもない。
にしてもここ、最初からそうだけど異様な雰囲気だ。恐ろしいけど、少し悲しい。

というかこの馬鹿いつまで笑ってるんでしょうね。


後に案内された部屋でこんのすけに、あの部屋にいたものは人ではなく刀剣男士と呼ばれる刀と神様だという事を告げられる。あの時言ってた刀剣男士ってそういう…分からな過ぎて全スルーしてたけど。そしてこの場所、本丸についてや、前任の事、刀剣男士たちの事を事細かに教えられ、その後こんのすけにハイパー質問タイムが待っているという事をこの子は知らない。
それからここに放り投げられ、役目を終えるまで帰れないことも、時代が未来だという事も、これから起こる数々の日々も、まだ私たちは知らない。

この場所がどれだけ地獄だったのかを。




ブラック本丸に放り投げられたとある兄妹の話。


「それではさっそく説明させていただきます」



20150704
(続かないよ!)
刀剣視点も準備してます。出来上がり次第次のページに置いておきます〜<<ヽ( ・)/>>出来ました。次のページでとある刀剣視点です。首絞め作戦大成功です。


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