迷って巡る軌跡を辿れば

Step.37 勝者は 2/2

「勝負あり…ですネ」

『……ちっ』


結果、どうやら彼の方が一歩早かったらしく今回は珍しく負けた。やはり同じ手は食わないか…。コイツなら騙されそうなのにな。まあ仕方ない。


「ではなまえサン、Trick or Treatデス」

『…はぁ』


その場から少し離れて上にある戸棚を開け、そこから高さ5センチくらいある箱を取り出した。元の位置に戻ろうと回れ右をすると、ブレイクはその様子を見ていたらしく目が一瞬だけ合った。…まあだから何だと言うのだけれど。小さな箱を持ってブレイクの前に突きだす。当然だけど彼はよく分かってなく、あざとく小首を傾げた。


「…えっと…?」

『…トリート。うんと甘い、お菓子』


言い終わると長い袖から出てきた細い指が、そっと小さな箱を受け取る。いつもと違う様子に警戒でもしてるのか?失礼な。ちゃんとお菓子ぎっしりですよ。


「今ワタシが警戒してるって思ったでしょう?」

『ぐ…』

「くく…」


片手は口元に寄せいつものような笑いはするが、もう片方の手には小さな箱の姿。これは大切にされてるって思ってもいいのかしら?


「ありがとうございますなまえさん」

『…いいえ。どうしたしまして』


小さな箱は大切に袖口に消え、満足そうにしているブレイク。作った甲斐があったと言うもんだ。


「さて…」

『彼らはいつ入ってくるのかしらね』

「そっとしておきましょうカ」

『あなたはさっさと帰れ』

「エー」



どうせついでだから
(あの二人早くくっつけばいいのに)
『誰がくっつくかよ』



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ハロウィンに書いたものですが過ぎてから書いたもの…だったかな。


修正 9/15


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