迷って巡る軌跡を辿れば

Step.5 浮気癖のある君へ 3/28

「また、か…」


それに気付いたのは休み時間のことだった。赤司は部活仲間と他愛もない話に参加してると、視界の隅に自分の愛する人を見つけた。
けど彼女は自分の恋人だけど、ただの恋人じゃない。

本命は自分と言いながら、少し目を離した隙に別の男を好きになるという浮気癖の酷い少女だった。
これまで付き合うまでにも彼女は何人もの男に乗り換え、漸く自分の隣に来たかと思えば少し寄り道し、また戻ってくる。
けれどどれも短いもので、長くて数ヶ月。短くて一ヶ月未満の浮気。しかし今回は長くなりそうで、長くなりそうな浮気は付き合ってから初めてだった。
それ程までに彼がいいのか。…僕じゃ、駄目なのか。

そう思ってしまうのは今、自分じゃないどこかの誰かと楽しそうに話をしている。見ていてもやもやするが、不思議と別れようとは思わなかった。
また彼女は戻ってきてくれる。自分を好いてくれる。そう信じてた。

赤司の様子に気付いた黒子が、赤司の視線を辿り、そして理解した。


「赤司くんもよく彼女のことが好きでいられますね」


何度も何度も浮気をしてるというのに。音にならなくとも聞こえた気がした。
しかし赤司はそんな黒子の言葉などさして聞いてないかのように、なんでもないようにそうかな、と答えただけだった。

分かるよ、好きだから。ちゃんと彼女は戻ってくるって。知ってるよ、何度も愛してると言ってくれたのだから。
彼女は嘘はつかない。
だから僕は戻ってくるのをいつまでも待つよ。

黒子の呆れたような視線は気づかないフリをした。




やはり読み通りを言うべきか、今回は長かった。一ヶ月、二ヶ月経った今も彼女は彼の元には戻っていない。もしかしたらずっと戻らないかもしれない。そう誰かが思い始め、赤司を説得しようと向き直った。


『赤司くーん!』


ほらね、来た。赤司の口角が上がる。
彼女は戻ってきた。誰もが唖然とした、そんな、馬鹿な。
しかし彼女は戻ってきた。これが真実。彼女の心は赤司一筋なのかと。


「おかえり、遅かったな」

『いやーあはは…』


申しわけなさそうな、照れたような表情仕草に赤司は一つ笑みを零した。彼女の髪を一束摘まみ優しく髪をキスをした。


『あの人も私にはドストライクだけど、やっぱり赤司くんが一番かな!』


そう彼女は笑顔で言った。




君の帰る場所はここだろう
(別れるときは、君が"僕"を忘れたとき)



20141127
なんちゃって、推しキャラの心変わりを描いた話でした。ちょっと他の子を見てるとき、本命がこうして待っていてくれたらどんなに素敵だろうか。


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