迷って巡る軌跡を辿れば

Step.6 言わなくても分かるでしょう 4/28

もう何度も繰り返してきた恋人とのデート。今日は付き合って10年目の記念日デート日。隣に腰掛ける恋人を何度も見つめて、視線に気付いた彼と目が合うとそれだけで嬉しくて素直ににやける。にやけるの。別名照れ笑いともいう。視線を外してテーブルに置かれたココアの入ったカップを持ち飲む。そんなことを今日だけで何度か繰り返してる。その光景を友人たちに見られ言われた言葉が「バカップル」。ええ、どうせバカップルですよ、羨ましいでしょ。更に言うなら視線を外してからの彼の行動も好きだ。ただこちらをじっと見つめて笑ってる。ただそれだけ。
今日も幸せだなぁ。


「なまえと付き合ってからもう10年経つ」


お互い無言だったはずの空間に彼の声だけが響いた。
突然どうしたの、とカップを持ちながら彼をもう一度見る。そこには優しそうに笑い、こちらを見る彼の姿。


「色々あったけど、もう潮時じゃないかな」

『え?』


カップを置き聞きかえす私を他所に、彼はポケットに手を突っ込み、小さな箱を取り出した。中身を隠すように箱を開け中身を取り出すと私の左手を手に取ると指にひやりとした冷たいものが通っていく。


「結婚しようか、なまえ」



言わなくても分かるでしょ?


そっと手に取った彼女の手は温かく、次第に震え、目に沢山の涙を潤ませながら、今までよりも素敵な笑顔で頷いた。

これ以上にない位幸せにすると誓うよ。



20140816
凄く短いうえに思ってたやつと違う…!本当は中学と科高校の簡単な振り返り書く予定だったんですけど…。


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