親もいない、友達もいない。いわゆるボッチの私は寂しくはなかった。むしろ一人の方が心地よかったし、なにより人はうるさかった。
同年代くらいの子達は、新しい子達と遊ぶのが好き。私は、古くて使えなくなったもので遊ぶのが好き。もっというなら使われなくなったものが好き。ほら見てまだきらきらしてるのに。新しいものに興味を持つのはいいことではあるがこれらはどうするの。君達は、どう片付けるの。
恨み辛みの詰まった骸骨。既に黒ずみ始めている。ああ憐れね、捨てられたから?今更?
ここらの持ち物は持ち帰り厳禁だから渋々従うけど、もしそんな規制がなければ今すぐ持って帰るのに。ふふ、素敵な顔ね。
「そんなもの何が楽しいんですか」
誰もいない筈の背後から子供の声がした。ああいつの間にいたのだろうか。全く気がつかなかった。振り向くと私と同年代くらいの子供が白い骸骨を持って立っていた。それは既に浄化済みなのか、真新しく見える。
『楽しいよ。君には分からない』
「分かり、たくもない」
何故かその子はすたすたとこっちに向かって来ている。そういえばこの子、最近来た子だよね、新入りさんか。
額に1本の角が映えているその子は私の横でしゃがみこんだ。ふうん、この子、
『人の子か…』
人の子が鬼になるなんて話は別に珍しくもない。ただ私はそういうのに初めて会っただけで、それ以外の興味はなかった。人の子は一瞬私を見たが、すぐに目の前の黒く成り果てた骸骨に向いてしまった。
「私は人の子ではありません。鬼です」
『そう。興味ない』
「そうですか」
黒い骸骨を手に取り、目の上部分に口付けをする。人の子……子鬼はそれに何も言わずただじっと見ていた。この体に宿って入っていた命は、今はどうしているかな。
『君さあ、何しに来たの』
「見学です。気にしないでください」
『…その骸骨を持って?』
「………」
『友達とやらと遊んでいたんでしょう?大方それを取りに行って迷子になり、偶々ここに辿り着いた。違う?』
「…否定はしません」
だと思った。
既にここには用済みなのでこの場から離れようとする。子鬼はそれに続くように後ろについて来た。新入りだから、この辺りで迷子になるのはよくあることだ。然り気無く子鬼を返してやろう。明日はまた新しい場所探してもするとしようか。
彼等は居場所を探してる
thanks:ひよこ屋
20140619