迷って巡る軌跡を辿れば

Step.12 任せてデリバリー 10/28

『あ、ボンジュール!グリーン』

「…うわ」


偶然トキワのジム前を通りかかったらグリーンが出てきた。今やろうとしてた用事が終われば、すぐにグリーンに会いに行こうと思っていたのはついさっき。まさか今会えるなんて嬉しいじゃねえか。
一方グリーンは私の顔と私の言動を聞いて「なんでお前…」みたいな顔をした。多分二重の意味で。


『うわ、じゃないよグリーン。何してんの』

「それ俺の台詞な」

『私はこれからレッドのとこに行こうとしてただけだし…?』

「は?…ああ…」


なんでお前がレッドのところに…と一瞬だけそんな顔されたが(失礼な)私の後ろ、つまり後ろで私の代わりに荷物を持ってくれているポケモンを見て理解したようだ。
何よその顔は。私だって幼馴染の顔くらい気になるわ。向こうからは全然来てくれないしね。


『グリーンもレッドのところに?』

「…まあな」

『じゃあ私が纏めて荷物持っていこうか?』

「え?」


「ついでだしねー」と笑って付け足すと彼は悩む素振りを見せた。
別にグリーンがいつも持っていく荷物の量なんて知ってるし、しれてるし、問題ないわけで。それにグリーンもジムを空けずに済むじゃない。
と考えてその逆も思い浮かんだ。グリーンはずっとジムにいるし、カントー最後のジムでそれなりに強いし挑戦者なんてあんまり来ないだろう。(おい今失礼なこと思ったろ)(いえ滅相もない)
よって退屈で気分転換も兼ねてレッドの元に行ってるとしたら…。それってすごくお節介じゃねーか私。
慌てて取り消そうとするがグリーンが先に口を開いた。


「頼もうかな」

『へ!?』


グリーンの意外な返事に変な声が出てしまったが今は許せ。マジで予想外だったんだから。
驚いた顔してるであろう私の顔見てグリーンが少し眉を寄せた。めんどくせえ、みたいな顔。


「んだよ」

『いや、意外っていうか…意外すぎてその、』

「なんだよそれ」


今度はくくっと笑った。いつもなら「笑ったー」とニコニコするであろう場面だが、生憎今はそこまで余裕がない。
しかしなんで今回に限ってそうも素直なのか…疑問に思ってると顔に出てたらしく、これまた素直に理由を話してくれた。


「まあたまにはいいかなって思っただけだ」


言うなり「よろしく」と言って、その手にあったレッド宛の荷物を手渡した。



任せたデリバリー
(あれグリーンは?)
(ジム前で偶然会ったから私が纏めて持ってきたんだぜー)
(そうなんだ)


20140206
本当は「任せてデリバード」「任せたデリバード」がタイトルでした。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -