迷って巡る軌跡を辿れば

Step.18 報告します 16/28

突然ですが、幼馴染の大輝に告ったらフラれました。
小さい頃からずっと一緒にいたせいか、いつの間にか異性として好きになってた人に無意識のうちに好きと言ってしまって、大輝は「は?無理」みたいな顔するし、とにかくテンパっちゃって光の速さでもう一人の幼馴染のさつきの家に行ってわんわん泣きました。
さつきに訳を話したら辛そうな顔して相槌を打ってくれてた。その優しさがまた私の涙腺を刺激して少し泣いた。その辛そうな顔のわけなんて私は知らない。

とまあこの日泣きすぎて次の日目が腫れてて学校行けなかったんですよね。やっちまったぜ。


「――であるからして………みょうじ?」

『……え、あっ、はい』

「みょうじ大丈夫か?顔色悪いぞ?」

『いえ大丈夫です!』

「そうか?無理すんなよー」


そう言えば今は授業真っ最中でした。
無意識のうちではあったものの、この前の事を思い出してまたズキリと胸が痛い。と言うか私そんなに顔色悪いのかな。先生は話ながらもチラチラこちらの様子を窺っている。そんなに心配ですか先生。確かに最近ちょっとだけ寝不足だけど平気ですよ。

真面目に授業に取り組むふりして誰にも聞こえぬよう小さく溜め息を吐いた。
次、体育か……。







どれくらいボーっとしてたかって言うと気付いたら保健室にいること。この薬品の匂い保健室で合ってると思うんだけどどうでしょう。え、なぜに保健室?いつの間に?
ぼうっと白い天井を眺めてると急に足元で何かが動いた。吃驚して起き上がるとよく見知った青がそこで寝て、え、なんでいんの?軽くテンパっていると部屋の扉が開いた気がした。続いて横にあるカーテンが勢いよく開けられる。そこで現れたのは赤と桃でした。


「あ!なまえ起きてたの?まだ寝てなきゃダメだよっ」

『さつき……?』


なんで寝てなきゃいけないのか、どうしてさつきの隣に赤がいるのか。しかもさつき、全く動じてませんね!あ、そういえば同じ部だっけ。赤こと赤司くんは私と同じクラスだけど。
とにかく目の前の青の存在を忘れたくて今目に映るそれについて考える。


「覚えてないかい?みょうじさん、体育の時倒れたんだよ」

『え…そうだったの…』


体育の授業中に倒れた記憶すらない私は…まず体育に向かった記憶すらないよ。もう何も言えん。唖然とする私をどう受け取ったかは知らないが赤司くんはもう戻るよと言った。


「その様子だと大丈夫そうだな。クラスにもそう言っておこう」

『はい。ありがとうございます…』


まあ私にすればどうしてそこで赤司くんが来るのか謎なんですけど。どうでもいいか。というか誰か此処で寝ている奴無理矢理叩き起こして連れて帰ってくれませんかね。ホントなんでコイツいるんですかね私まだ傷心してるんだけど。さつきも赤司くんも気付いてる?大輝がいるってこと!

じっと大輝を見てたらさつきが驚いたような声を出した。ちょ、マジで気付いてなかったの?赤司くんは最初からいたよって言ってる。気付いてたのか。
その騒ぎの所為か足元に動きを感じ……え。


「ん…?お、起きたか」


こっちの台詞ですけど。
とか言えないのでさつきに目を向けた。ちなみに赤司くんはすでにいない。いつの間に…。
さつきに頼んで大輝を連れ出して欲しいなー…なんて目で訴える。その気持ちを受け取ったさつきは小さく頷いて大輝を引っ張り始める。


「大ちゃ…青峰くん!次部活だし行こ!」

「あー…?先に行っとけ。俺はなまえに用があるんだよ」

『は…?』


用って何ですか私彼と一緒にいるのはとても辛いんですけど!さつきもそれは知ってるはずなのに私を一瞬見てからため息ついて分かったと了承…ええ!?


『さつきの裏切者おおおお!!』

「なまえうるせー。てわけでさつきは先に行ってろ」

「すぐ来てね。なまえごめんね!」


今さっきの短時間で大輝とさつきの目と目の交信があったのは理解した。いつもは分かるのに今分からなかった…!いや交信があった時点でまだいいか?なんて思考を別の方に向けてたらさつきがいなくなってた。うわああああ詰んだ!!


「あのさなまえ…」


意識すると簡単に平常ではいられなくのは辛きことかな。自分でも分かるほど目が泳いでる。今も意識してる、とか気付かれたくなくて咄嗟に俯いた。
だから、大輝の様子なんてちっとも分らなかった。


「この間は…その…悪かった」


突然言われたその言葉が理解できなくて思わず顔を上げる。と大輝は黒いくせにほんのり頬が赤かった。はっ!熱!?
という私の心配はすぐに消し飛んでしまったのだが。
気のせいか、大輝の目は先ほどの私と同じように泳いでいる。私はまっすぐ大輝を見ているが。


「最初は、空耳だと思ってよ…ていうか冗談だと思って…」


まさかあんな反応されると思ってなくて…。そうは言うがこちとら意味が分からないぞ?そうだね、まず大輝に謝られる意味が分からない。…そういえば言った後すぐ逃げちゃったけど、別に「ごめんね、冗談だよ」って笑えばよかったんだ。何やってんだろ私。
思い出してあちゃーとなる私とは正反対に大輝の顔はマジになっていく。なんていうか真顔になりつつある。

私が必死に別のことを考えるのにはわけがあった。


「だから今度は俺が言う」


大輝が段々真顔になっていくのと同時に、胸が高鳴っていく。
なんとなく分ってた雰囲気とか、仕草とか、表情とか。全部全部見ないふりして過ごそうとしたけどダメだった。


「なまえが好きだ」


一度はフラれたけど思い返せばほら、好きだったんだよ。



この恋は大丈夫そうです
(文句を言ってやろうとも思ったけど、後で見た表情を見たら何も言えなくなっちゃった)


***
修正 5/14
最後意味不明ですけど眠気のせいです。と言い張る。


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