やっぱちょろい
エレンくんと兵長と一緒に寝た翌朝。私は酷く寝不足だった。
昨夜のエレンくんはよく魘されていた。泣きそうな顔とか、辛そうな顔とかして。時折かあさんって宙に手を伸ばす。言われなくても悪夢を見てるんだと分かった。
「(きっとどれも過去の話…)」
頭を撫でたり手を繋ぐとそれは収まり、エレンくんはすやすやと気持ち良さそうに寝た。
さて別にエレンくんが原因という訳でもなく原因は別にある。エレンくんじゃないとしたら。そう、兵長である。百歩譲って2割がエレンくんのせいだとして、兵長は10割。聞いてくださいよ!あの人ったら事あるごとに起こすんですよ!おかげですごい寝不足です!どんなの?例えばそうですね。
エレンが魘されていたらので頭を撫でていたら落ち着き、安心したように眠ったのを確認し自分も寝ようと目を閉じた。そしたら頭上で声がした。枕の上…ですかね。
「なまえよ、少し付き合え」
「えぇ?一人でどうぞ」
「いいから来い」
「あいたっ」
寝ぼけてるのか寝ぼけてないのか兵長が起きてて無理矢理私を叩き起こしてどこに行くと言う訳でもなくぐちぐちぐちと喋った。実際時間にすれば多分10分か15分くらい。けれど私には一時間近くに思えた。内容は覚えてないけど、すごくどうでもいいような話ばっかだったと記憶している。それもエレンくんが起きるたびにするもんだからもう寝不足で…って聞いてますハンジさん。
「っうん!聞いてるよ!」
「なんでそんな可笑しそうな顔してるんですか!」
「えー?そんなことないよー。…それよりさ、」
どう見たって可笑しそうに笑い掛けてるハンジさんは未だ笑いを我慢しながら話題を変えた。逸らされた感がすごい。
「リヴァイ、連れてきてほしいんだけど」
「えー」
「えー?お願いー」
「えー?」
「連れてきてくれたら少しは寝れるように時間は稼ぐからさ!」
「しょうがないなぁ!連れてきますね!」
「頼んだ!」
今私に欲しいのは少しの睡眠だ。これを逃せばきっと夜まで持たない。てわけで兵長連れてくる。
ちょろい、とか思われてたら寝る前に一発お見舞いしてやる!眠気のせいにすればなんの問題もないんだから。