退屈だな!

昼前と昼後の授業、つまり4時間目と5時間目はかなり眠い。めっちゃ眠い。特に俺はな。なんでこんなに眠いのと聞きたいくらい眠い。その度に隣の席のやつに突かれる。シャー芯だったり消ゴムのカス纏めたやつだったり。結構痛い、地味に。
夢の世界と現実の世界を行ったり来たりしている俺は頑張ってた、これでも。

「古典は眠い…」

あと一歩のとこで眠りかけてた時、教室のドアが勢いよく開いた。

「みょうじ!」

突然現れたそいつは俺の名を呼ぶ。同時にクラスの視線を一気に集めた。わあ二重の意味で目が覚めたよ。
今日のドアを勢いよく開け俺の名を呼んだそいつは青峰大輝。知る日とぞ知るバスケ部のエース。授業中なのに何故此処にと思う方もいるだろう。思うだろ?俺も思った。
というかお前、授業は。

「先生!みょうじ借りるぜ!」

「えっ、あ、ああ…」

いや先生止めろよ。ていうか青峰おま誰。「先生」とか言うキャラじゃないだろ。何スイッチは言ってんだよ。

「みょうじ来い!」

「うわっ引っ張るな!」

後ろ!キャーキャー言うな!何の悲鳴だ!…いや歓声?……何のだ!?



◇ ◇ ◇



「紫原!」

ほぼ放心状態の俺。理由?そんなもん運動部と帰宅部のそれよ。コイツ全力で走るから俺が追いつけない。もう足は死んだも同然違うな死んでる。
ん?目の前に紫原が見えるぞ。なんだこれは。え。

「よいしょっと」

「…!?」

あ、ありのまま起こったことを話すぜ!「俺は青峰に強制連行されて気が付いたら紫原にお姫様抱っこされていた」何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからな…くはねーよ!理解した!なんで俺お姫様抱っこされてんだよ!

「おっ、おい紫原!」

「みょうじちん軽いねー。ご飯食べてるー?」

「食ってる!男らしく食ってる!じゃねーよ降ろせぇええええ!!」

「無理だし。これも赤ちん命令〜」

「コノヤロォオオオオああああかしいいいいい!!」

「ちょっとうるさい」

「あいたっ」

そりゃ下で騒いだらうるさいでしょうよ、だから降ろしてくれよ!なんだよこの羞恥心!男が男に姫抱っことか!嬉しくないしというかなんだよこれええええ!!
恥ずかしすぎて死ぬ!恥ずか死ぬ!!恥ずか死!!

「みょうじちんほんと軽いね〜」

もうやだ誰か俺を殺してくれ。



◇ ◇ ◇



「みょうじっちー、大丈夫ッスかー?」

「…え?黄瀬?」

え、ここどこ。
と思ったらいつかの部室じゃねぇか。どうして俺はここに…!

「あー…まぁ気持ちは分からなくもないッスけど」

というか俺はどうやってここに来たんだ。え、ついに瞬間移動でも習得しちゃった?
ktkrじゃねぇか。通学超楽になるわ。よーしさっそく教室に飛んで荷物持って家に帰ろう。

「現実逃避はよくないッスよ」

「…ですよね」

覚えてるよ俺は青峰に呼ばれてついて行ってたら紫原にひ…担がれて、気が付いたらここに来てたんだよ。うん。

「で、誰だよ俺をここに呼んだやつ」

おかげで目は覚めたけどさ。

「僕と赤司くんですよみょうじくん」

「お前らこういうの好きだな。双子かよ」

「そうだよ、俺らは生き別れた兄妹」

「…大変だったんだな、って乗らねェよ!」

「もう乗りました」

「ちくしょう!」

ていうかなんで呼んだ。

「退屈だったんだ、授業が」

「僕らも呼ばれた側なんです」

「なら俺も普通に呼んでくれよ」

「ああしたほうが面白いと思って。主に俺が」

「姫抱っこは嫌だった。赤司がしてもらえよ。あと黒子も」

「僕もですかw赤司くんに譲ります」

「俺が行けるなら黒子もみょうじもいける」

「つか青峰どこ。アイツ全速力で走ったから俺死んだんだけど」

「便所だ」

「机に蜂の死骸入れてやる」

「…それはやめてあげてください」

「せめていつも持ってる写真集にしてやれ」

「赤司の方がひでぇ。なら両方にしてやるわ」

主に退屈な俺らの日常。的な。



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