遊びだったの!?
「っひどい!私のことは遊びだったのね!!」
「違う!オレは君も…!」
「“も”!?それってどういうこと!?…大体、なんでよりにもよってアイツなのよ?!」
それは放課後のこと。
着替え終え、戸締まりをしようとやってきた赤司と緑間、付き添いで来たその他を引き連れて鍵を挿そうとした時、体育館ので中で怒鳴り声が響いた。何事だと連中は中を覗き、赤司は言った。
「まずは状況判断だよ」
その目がキラキラしていたことは誰も指摘しない。触らぬ神に祟りなし、だ。
どうやら中には三人の人影があるようだ。一番最初に聞こえたのは女性の声で、なぜこんなとこで…とは思ったが赤司が何も言わないので言わないでおく。
「だーかーらー、こいつは俺と居た方がいいんだって。なぁ?」
どうやら二股したらしい。誰がだ。なぜここでする。
じぃっと目を凝らしながら見ているとどれも知ってる人物だった。
「もう!どうせゲイなんでしょ!黄瀬くん!」
みょうじと、
「違う!だからオレは…二人とも愛してるんス!!」
黄瀬と、
「もーいいだろ?コイツを捨てて、俺ンとこ来いよ」
青峰だった。
理解すると黒子が肩を震わせ始めた。どうやら笑うのを耐えているらしい。恐らく状況を理解したのだろう。多分。
みょうじと、青峰はどうやら黄瀬の取り合いをしているらしい。まさかアイツらがそんな関係だったとは…。ここで赤司も肩を震わせ始めた。
「…?」
何故二人が可笑しそうに肩を震わせているのか、緑間にはさっぱりだった。
「みょうじちんたち喧嘩してるね〜」
唯一、紫原だけが自分と同じように笑っていないことが救いだった。
「…止めるのだよ」
「いや、いい。もう少し様子を見y…っふw」
「ですね、見ましょうw」
ということでもう暫く観覧です。
「オレは…どっちも愛してるんス!」
「黄瀬くん…」
「黄瀬…」
「この気持ちは本気なんス…だから…」
「…チラ」
「…チラ」
黄瀬に言われどうしようかとみょうじと青峰はお互い顔を見合わせる。
数秒見つめ合ってコクリと小さく頷いた。
そして黄瀬を見ると、
「分かった。黄瀬くん」
「しゃーねぇな」
…どうやら丸く収まったらしい。最後に黄瀬が二人まとめて抱きつき二人はそれを受け止める。そこまで来て赤司の膝ががくんと崩れた。
どうしたと声を掛ける前に黒子に先を越されてしまう。
「っふ、大丈夫ですか、赤司くん…っ」
「ああ、大丈…っふふふ」
二人は一体何が面白いんだろう。そう考えてると紫原が館内に入って行った。
「みょうじちーん、黄瀬ちーん、峰ちーん、赤ちんが死んだー」
待て待て待て!?赤司は死んでないぞ!?
緑間は急いで訂正を入れようと足を踏み出したところで向こうの三人の顔が一斉にこちらを向いた。
見られていたと言うのに全く動じない。…まさか。
「やった!成功!」
いえーいとみょうじと黄瀬がハイタッチ。青峰は思いっきりガッツポーズ。
赤司も黒子に支えられながら中に入って行った。緑間も続いて入っていく。
「あっかしくーん!どうだった?」
「最高だよwwwww」
「黒子くんはー?」
「死ぬかと思いました」
「真顔で言われても効果ないわ」
それに赤司と青峰と黄瀬が思い切り吹き出した。
暫くは数人の笑い声が体育館に響き、体育館付近にいた人間は体育館から逃げて行ったと言う…。
「結局何をしていたのだよ」
「「不倫ごっこ」」
「黄瀬くんが二股役。私らがその浮気相手的な。赤司くんたちが来るタイミングを見計らってやったのよ!w」
「オレがホモなわけないじゃないッスかー!」
「もし本当だったらイグナイトしてましたが…すぐに芝居だと分かったのでよかったですww」
「最高wwwwwwwwww」
「赤ちんいつまで笑ってるの?」
「止まらないんだよwwwwwww」
「またやろーぜ!青峰くん、黄瀬くん」
「おう!ww」
「はいッス!w」