その先を目指せ | ナノ


▽ 01


帝光中学校バスケットボール部。
部員数は100を超え、全中3連覇を誇る超強豪校。

その輝かしい歴史の中でも特に最強と呼ばれ、無敗を誇った10年に一人の天才が5人同時にいた世代は「キセキの世代」と言われている。

が、「キセキの世代」には奇妙な噂があった。

誰も知らない、試合記録もない。にも関わらず、天才5人が一目置いていた選手がもう一人

「幻の6人目」がいた、と――。




そしてもう一つ。




常にそこで「キセキの世代」を導き、キセキの世代を越えた奇跡の実力者であったにも拘らず、一人静かにそのコートから降りた選手、

「白人の支配者」がいた――。













桜も満開に咲き誇り、今年の春からこの学校に通う新入生を歓迎してる様にも見える私立誠凛高等高校。縮めて誠凛。
去年出来た新設校なだけあって桜が綺麗に校舎を映している。


「ラグビー興味ない?」

「日本人なら野球でしょ!」

「水泳!チョー気持ちいいよ!」


校門の向こうでは各部員が声を張り上げて部員を獲得しようと必死だ。
そんな声すら無視して進む。特にどこに行くとかも決めてない。
…おもしろいことがあるなら入ってもいいんだがな、部活。


「バスケー!バスケ部ー!バスケ部はいかがですかー!?」


と前の方でそんな勧誘の声が聞こえた。
いかがですかって…商品じゃねーんだから。後ろにいた少々イケメンな生徒に注意されてたけど、その後の周りの空気が少し冷えた気がしたためさっさと見て回ろうと思った。

少し進んだ先に見るのも懐かしい水色が見えた。
相変わらず影うっす。半ぼーっとそんなことを考えながら歩いてると水色の彼は掲示板の前で一度足を止めた。釣られて俺も止まる。確かあれは部活案内ブースだったっけ?
…恐らくあそこに入るな。と思ったら後ろでバスケ部に声かけてる奴がいた。
その低くつまらなさそうな声が気になり、後ろを振り返ってみるとまるで野生の虎がいるかのような迫力があった。あれ目の前だったら失神する人出そう。でも強そうじゃん?それにアイツに似たものを感じる。

…なるほど、こりゃバスケ部入るしかないっしょ。




◇ ◇ ◇




「“火神大我”。中学はアメリカか。本場仕込みだな」

「どっちにしろ、タダモノじゃなさそうね」

「よー」

「ん?」


先程来た新入生の入部届けを見てると、猫目の男子生徒が2枚の入部届けを目の前に出す。


「これ、集め忘れてる入部届け」

「あ、ごめん」


2枚受け取りまず一枚目に目を通す女子生徒。


「えーと…“黒子テツヤ”
…あれ?ずっと机番してたのに。全く覚えてない…。…!?」


確かにずっといたはずなのにそんな子いたかと記憶を辿って行くがもちろんそんな記憶はどこにもない。
備考欄を見ていくとある事に気付く。
その様子を見た隣の眼鏡をかけた男子生徒が話しかける。


「どした?」

「て、帝光バスケ部出身!」

「帝光って…あの“帝光”か!?」


見せろとばかり女子生徒の手から紙を取る男子生徒。


「そうよ!しかも今年一年ってことは…“キセキの世代”!」


その口振りからは確定としてしか聞こえないが、きっとあながち間違ってはいない。


「キセキの世代…あの有名な!?」

「うん。あー!なんでそんな金の卵の顔を覚えてないんだあたしー!!」

「なぁ、もう一枚はどうなんだ?」


猫目の男子生徒が忘れられかけていたもう一枚の入部届けを指差す。


「あ、そうだった。…“白垣夏向”…この子も記憶にない、ってまた帝光バスケ部出身!?」

「おいおいそれってすごくね?」


2枚集め忘れられていた入部届け。
そのどちらもが帝光バスケ部出身者だったこと。


「さっきのやつはアメリカ帰りだし。帝光出身が2人…今年一年ヤバイ…!?」




【黒子はボクです】





「……あ、でもこの白垣くんはマネージャー志望だわ」

「えっ」


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