その先を目指せ | ナノ


▽ 06


朝の散歩と称して近所をジョギング。時々歩き。と更に称して近所を探検。ただ今日に限って行き過ぎたみたいで、高校の近くに来てしまったようだ。帰りは走ろう、そうしよう。そういえばここの近くにストバスあったっけ。

昨日、黒子はカガミくんの影になった。まあそれは全然いいんだけど。カガミくん絶対分かってないよな。分かったら逆にある意味凄いけど。
ストバス内からボールの音がする。カガミくんだろうか。黒子の新しい光…。
そっと顔を覗かせると案の定想像していた人物で3Pポイントでボールを投げた。アイツ本当に同一人物かってくらいこれからを期待してる表情をしていた。もっと分かりやすく言えばキラキラしてるっていうの?どこまでアイツに似てるんだよ!ってド突きたくなるくらい似てる。昔のアイツに。無意識に重ねてしまう俺も悪いけどさあ…。

シュートは綺麗に入り、アイツダンクだけじゃねえんだなと知った。一応3Pも出来るがダンクが主に、と…。まあできなきゃな…身長たけぇし。ハッ縮め。


「お前3Pとかも出来んだな」

「っ!?」


お、今コイツビクッて肩跳ねた。おもしれー。と言うかなんで声かけてんだ俺は。無意識だぞ、マジで。


「なんだお前か…」

「誰だと思ったの?ていうか俺白垣って名前だからな?いい加減覚えろよ」


そういうとコクコクと頷くカガミくん。若干青ざめてる気もするが、この際気にしないでおこう。こんなのたまにあるし。あ、そうそうずっと気になってたことあるんだ。


「カガミくんってさ、どんな字で“カガミ”って書くの?」

「…は?」


だってほら、きっとこれから長い付き合いになりそうだから。友人の名前くらい、憶えておきたいじゃん?





【本気です】





「…こう」

「へえ……」


火の神で「火神」と書くらしい。ちなみに下の名前は「大我」。
なにそれかっこいい。



◇ ◇ ◇



学校に着くなり俺の視界に黒子が現れた。驚きはしたがもう慣れた。黒子と俺は別クラスなので、わざわざこっちまで来てくれたんだろうか。用件はと聞いたら本入部届けをもらいに一緒に行かないかとのこと。後にしようと思ってたんだけど、せっかくの誘いだしいいかと二年の教室に黒子と歩く。

二年の教室に行くと監督は牛乳を飲んでいた、にも関わらず監督の横に向かう。って待った黒子それアカン奴!!
黒子が話しかけたら当然ながら監督は驚いて牛乳吹くし、その牛乳が黒子の制服に少し付くし、俺がそれをハンカチで拭いてそれと監督に謝って。なんか黒子の保護者みたいだなあ。黒子も謝ってたけど。


「ベンチに空きがあるからいいけども、2人とも気が早すぎ。はい」

「ありがとうございます」


入部届けをもらいお礼を言って二年の教室を後にした。出る前、監督に一言言われたけどどういうことあろう。まあその日になれば分かるかな。
一年の教室へ戻りながら、なんとなく黒子を盗み見ると何か言いたそうな顔もしていた。なんとなくの見当はついている。恐らく先日の事。ちゃんと答えてないから。多分行きの道も考えたんだろーなーとか違う事を考えた。今度聞かれたらまともに答えないと。

ぼうっとしながら歩いてるとふと見えた掲示板の記事に思わず足を止める。黒子も同じように止まってる。
誠凛学生新聞。そこには「男子バスケ部新人戦 関東大会出場!!」とでかでかと飾ってあった。下に写る写真の人物は主将の日向先輩。更に一段下、6人の先輩たちの写真が…ってあれ、6人…?この真ん中の7番、今いないけどどこかで…。


「ん?黒子?」


黒子はじっとその新聞記事を見ていた。何か思うような事でもあるのだろうか。
一年にして決勝に進出ってのは相当凄い。でも進出ってだけでそれ以上は行ってないんだろう。相手は分からないが、まだ力が足りなかったと言う事、かね。


「やっぱそれなりなんだな」

「ええ、強いですよ」

「うお?!」


向こう側で声がしたと思ったら火神くんかよ、驚かせんなって。黒子の発言に驚いて、むしろ存在に驚いて大声で怒鳴り出すし。ここ廊下。黒子が口元に人差し指を当て上を指さした。静かに、と言う意味を込めた注意。
すると火神くんが黒子の頭を鷲掴み…っておいこら待て。


「おちょくってんだよなおいゴラァ!?」

「違います」

「まぁまぁ火神くん、まずは落ち着け」

「!?いだ!?」


火神くんの手の甲を痛い位に摘まんで黒子の頭から離す。だってギリギリ言ってたし黒子痛そうだったし。現に「痛い」言ってるし黒子の身長がこれ以上縮んだらどうすんの。


「縮みません」

「あ、声に出てた?」

「いえ、顔に出てました」

「あちゃ」


火神くんは何か考えてるみたいだし、そんな中で俺らが邪魔しちゃ悪いので先に教室に戻っておこうと黒子と話し合った。
後に廊下ですれ違った時に頭を軽く殴られたのはまた別の話。なぜか黒子共々殴られた。わりと痛い。なんだよ、俺らが何したってんだよ!


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