もう一度番外編 | ナノ

先輩の人気度

かち…、かち…、かち…。もうすぐを日付が変わる。予め用意していたメール文を開き、念入りに誤字や宛先が間違ってないか確認…よし。大丈夫。

かち…、かち…、かちり。日付が、7月10日になった。
メール画面だったそれから迷いなく送信ボタンを押し、携帯をベッド横の棚に置き、漸く布団に滑り込んだ。
それから数分して携帯が震えた。…隣の部屋もそれらしき音が微かに聞こえた。つまり、そういうことかな。くすりと小さく笑いながら、棚に置いた携帯を取って操作する。そこにはやっぱり今しがたメールした人物からの返信。


〈まだこっちは9日だわボケ。
 …毎年サンキュ〉


…相変わらずで何よりです。去年もそれらしきことを言っていたような気がする。すぐに返信画面を作って《知ってます。こっちは夜なのでおやすみなさい。》とそれだけ送って眠りについた。



◇ ◇ ◇



今日は珍しくも全員休みの休日。大抵黄瀬君か青峰君が留守な事があるが、仕事も予定もないらしいのでのんびり家でくつろいでいる。それも全員それぞれの場所にいる。
昼食7人分を作っていると少し離れた場所に置いてあった携帯が震えた。表には出さないが内心テンションが高かった。だって今日は珍しくメールに付き合ってくれる。今お昼頃だからあと4時間…。そう思いながらも絶えずあちこちでメール受信を知らせるそれぞれの音がする。と言ってもメールしてるなんて私を含め3人だけだけど。

そんな私たちの様子を見兼ねた黄瀬君が不思議そうに黒子君に聞いていた。


「ねえ黒子っち。なんであの3人はずっと同じことしてるんスか?」

「知らないんですか黄瀬君。今日は虹村元主将のお誕生日ですよ。きっとその延長でしょう」

「うえっ!?そうなんスか!?あ、わわオレも今からおめでとう送るッス!!」


黒子君に聞いて漸く今日がなんなのか分かったらしい。というか今まで知らなかったらしい。でも考えてみればそっか……知らなくて当然な気がする。
料理がほぼできたとこで火を止めて、器を取りながら携帯をチェック。うーん危ないから怒られそうだ。でもやっぱ気になるし今日だけ許して。
返信中にまたどこかで誰かの携帯に受信のお知らせ。それからすぐガタリとイスらしき音。反射みたいなものか、料理を盛り合わせながら音のした方を見ると赤司君が「Win!」みたいなポーズしていた。ちゃんと言うと携帯見ながら片手を天井に向けてる…。


『赤司君どうしたの?』

「……優…」

『ん?』


呼ばれ振り向いた赤司君の表情は心なしか嬉しそう。恍惚、というのか。何も言わず携帯画面を向けるしぐさにこれを見てみろって事かな。と予想に失礼ながら携帯を覗いた。


『…え、』


そこには〈うるせー。なら今度こっち来いよ〉と書いてあった。つまり、会う機会をもらって事、だよね。それはそれは…赤司君めっちゃ嬉しそう。よかったね、と素直に祝う。赤司君、先輩の中でも虹村さんのこと好きだったもんなあ。きっと私の想像以上に嬉しい筈。
ありがとうと言ってまた同じ席に座った赤司君に続きみんながそれぞれの席に座っていく。よく見てるね。
出来上がった料理をテーブルに置き、残りの準備をして自分の席に座ると赤司君を始めに「いただきます」をする。
…あ、メール着てた。食べたら返そう。



だって今日は
(我らが主将の誕生日!)

(ちなみに君を除く皆さんは0時に送ってました)
(嘘でしょ…)


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短いですが、虹村先輩おめでとうございます!本当は中1の頃の回想とか混ぜたかったんですが、方向ミスりました。


20140710

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