君が好きだと、愛していると告げる資格はない。


お元気ですか?

私は元気です。

こちらの空気は自然そのもので今の私にはとても心地が良いです。

近々またそちらに行くらしいです。その時はどうかまた仲良くしてください。

それまで、どうかお元気で。







たった一枚の、たった数行の手紙にこんなに気持ちの籠った手紙が今まであっただろうか。
答えは「ない」
じゃなきゃ感動もしないしましてや今泣くはず無い。

彼女は昔本気で付き合って本気で愛していた女だ。
きっともうこんな恋できない。そうしたのはオレだ。オレの不注意だ。
きっとあの時オレがあんなことしなければ彼女はきっと今もオレの隣にいたのに。
大切にするって、誓ったのに。

恨まれてもおかしくないのに。嫌われたも同然なのに。
何故彼女はこんなにも優しくて素敵なんだろうか。
優しいけど、少しは責めてほしい。
いっそのこと突き放してほしい。
嫌いだって、近寄らないでって、死んじゃえって。拒絶でも、殺されてもいいから。

それくらいの覚悟なんて簡単に出来ていたのに。
またこんなにも好きで溢れる。

こんなことが出来るのは彼女だけ。同時にまだ彼女の事が好きなんだって思えた。こんな気持ち、今更邪魔でしかない。この好きがまた君を傷付けてしまう。
たとえ両者の親が許さなくても、優しい君が許しても、オレの心は今もオレを責めてる。

そっと手紙に指を這わせる。撫でるようにその文字を見つめる。
「お元気で。」の隣に「会いたい」と一度書かれていた文字。消されているもののしっかりと跡が残っている。
オレだって会いたい。会いに行きたい。けどそれは許されない。硬く言われてるし、会ったらきっとまた「好き」だと言ってしまいそうで。怖い。


「ごめんね…」


もう君に逢う事すら、許されないんだ。





(ああ、本当はすぐに君を抱きしめてしまいたくなる)
(君の    は全てオレが悪いから)



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ずっとずっと想いあってる二人。

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