妹に欲しいな


「あ〜雪原ちんだ〜」


どういうことなの!?
どうも、先日からやけにカラフルな方たちと出会います。正直胃がちょっとキリキリします。目も痛いし。
というか目の前にいるこの人は何なんですか。外人ですか。外人なんですか。でも紫色の外人なんて聞いたこともないし…。
この前のあの野郎よりもでかい。そして首が痛い!


『どうも…』

「ねーお菓子持ってないー?」


あ、天使だわ。
こんな巨体でお菓子ない?って聞くと超天使じゃん。妖精じゃん。やばい。
で、えっとお菓子か。お菓子……。


『ちゅっ○ちゃっぷすくらいしかないけど…いい?』

「いいよ。ちょーだい」

『ん、どうぞ』


はい、って渡す私の手が酷く小さく見える。それほど紫色の彼がでかい。だがしかし天使。大妖精。癒しだわ。
もらった飴をさっそく食べる紫色の彼。ちょっとダルそうな目元と、巨大な体。確かバスケ部だったよね。ゴール下とか守ってそう。
ちょっとアレなのにお菓子が好きなのかな。いいね、ギャップ萌えってやつか。最高じゃねぇか。


「他にはない?」

『えっ!ん、んー…』


いつの間にか食べ終わったらしくまだないかと見下ろしてくる。
天使だと知る前にこうされると怖いと思ったけど今はもう怖くない!一瞬天使の事も忘れてたけど。
お菓子かー…。基本それ数本くらいしか持ってないし、あとは授業中食べながらやらないと集中できないしなー。お菓子お菓子…あ。


『今日調理実習でカップケーキ作ったの。よかったら食べる?』

「!食う!」


一気にぱぁっと明るくなった紫色の彼。ま、眩しい…。
取ってくるねと教室に行って鞄を漁る中、後ろから何やら視線が…。あ、そういえば彼らと同じクラスだったっけ。
よし、気付かないフリで。
カップケーキが2個入った袋を取り出して廊下へと出た。


『まだ味見してないからおいしいか分からないけど…どうぞ』

「うまそーだし!ありがとう!」


すぐには食べず大事そうに抱えながら隣の教室へと入って行った。
え、隣だったのか。

料理ができない訳ではないけど、やっぱ味見する前に渡すのもどうかとちょっと後悔した。
明日感想聞いとこう。
まずかったらお菓子買ってあげよう。




◇ ◇ ◇




次の日、朝最初の授業の準備をしてるとごんっという鈍い音が響いた。
その音は教室の入り口辺りで鳴り、全員が注目すると昨日会った紫色の彼。…って名前聞いてなかった。
痛そうに頭を押さえる姿に大丈夫かと思いつつも、後ろの方から盛大なため息が聞こえてちょっと後ろが気になる。
紫色の彼の元へ寄ると私を見つけたその目が若干涙目だ。


『だ、大丈夫…ですか』

「うぅー…痛い」

『ほ、保健室行きましょうっ』


紫色の彼をしゃがませて頭を見たところ小さなこぶができている。そりゃ痛いわ。
涙目な彼もマジ天使、癒し。と思ったのは伏せておこう。



◇ ◇ ◇



『ここに座っててくださいね。冷たいもの持ってきます』


保健室へ行ったものの、朝早いからか保険の先生はいなかった。仕方なく私が手当てすることに。椅子に座っても大きいな。


「っ」

『わっ、ごめんなさい、大丈夫ですか?』

「平気だし…」

『いやでもこれめっちゃ冷たいですよ』

「………」

『持ってる私ですら冷たいんです。強がらなくても…』

「…つめてーし」

『ですよね』


おでこにぴとっと氷を付ける。いやーもう冷たい。
そうだ今の内に聞きたいこと聞いとこうかな。


『あの、昨日のカップケーキどうでした?お口に合いました?』

「うん!ちょーうまかったし!」

『ほんとですか?よかったです!』

「……」

『…?あの、』


突然黙り込んでしまった紫色の彼。ただ黙り込むんじゃなくて何かを考えてるような、深刻そうな顔?
少なから私は何かをやらかしてしまったのかと思ったのだが…。


「雪原ちんが妹だったらよかったねー」

『い、妹!?』


それは一体どういう意味!?てかどうしてそうなった!?
そして私の心配を返せ!
ああああああざとい!ニコって笑いながら首かしげるとかあざといよ!!
どうしてそれで一人納得したような顔してるの!ちくしょうマジ天使!


「雪原ちんが妹だったら毎日お菓子作ってくれるもんね〜」

『いや毎日はちょっと……えっと…』

「紫原敦」

『え?』

「俺の名前」

『あ…紫原くん、お菓子好きなの?』

「超好き!」


天使ktkr!!

今日の復習。
紫色の彼は紫原敦くんと言い、なんと身長186pもあるらしい。
あのトト○をも上回る身長。きっとト○ロが横に来たら少し可愛く見えそうだ。
そしてお菓子好きの天使だと言う事。よし、明日お菓子持ってこよう。

今回ので紫色が私の世界に加わりました。




妹に欲しいな
(まいう棒って意外と行けるんだね)

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