(0101) ▼ 弟を探す姉とおまけの三渕

幼い頃、両親が離婚した。当時一つ違いの弟がいて、弟は父に、私は母と一緒に街を出た。私が4つの時だ。はっきりとではないがよく覚えている。母に手を繋がれ早々と歩いてしまう母に、足を動かし足手まといにならぬよう必死になりながら、後ろで私を呼ぶ小さな弟の姿を。私は何も分からず手を振っていた気がする。多分、だけど。弟の顔をはっきりと覚えてる訳じゃないじゃないが、手掛かりはある。何てったって私もその家の娘。今は違うかもしれないがその血は通ってる。特徴の一つ、覚えてない私ではない。
百々のつまり、特徴さえ忘れなければ探すことも可能だと思う。今は、出来ないけど。


「マユ、一緒に部活行きましょ」

『うん』

「…あんたいっつも肌綺麗よね」

『どうしたの突然』

「ふとね。マユ肌のお手入れしてないって言うじゃない?」

『うん』

「…ああー!羨ましい!」

『玲央だって綺麗じゃない。男なのに』

「ええいやかましい!それは禁句よ!」

『知ってる』

「………はあ、ほんと憎めない子ね」

『どうも』

「褒めてない!」


今日の玲央はいつもに増して気合が入ってるみたい。何かあったっけと記憶を振り返ってみた。そういえば今日は新入生も混ざるんだっけか。そんなことを聞くと玲央はああ…と声を漏らす。


「今年はちょっとすごいわよ」

『なにが?』

「一年が」


へえと言うと「今のうちよ、そう言えるのも」と面白そうに笑った。玲央が言うんだから間違いはなさそうだ。
どうすごいのだろうか。実に楽しみである。


幼い頃に別れた話。ざっというと幼い頃に両親が別れてそれきり会ってない弟の話。
玲央姉は友情出演です。気が向いたら短編書きたい、が中編向きである。




2014.01.01 00:00


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