(1026) ▼ 「全部夢の話だよ」

前を向く事すら出来なかった時。差し伸べられた大きな手は、今でも忘れられない。
時々夢に見る。
それはいつも決まって私が道に迷ったりした時、その手は導くことはせずただ差し伸べられるだけ。白く、すこし頬張った手だけど私はいつもそれが懐かしくて愛おしくて、それが見えると迷わず涙を流しながらその手を取るのだ。手の主は必ず、くすりと笑うけど今更な気がして特に気にしたこともない。笑われたって気にしない。あぁ、そうだねって、一つ結論が出る前にいつもそこで夢は終わる。けれどその朝には道は決まってて、きっと一緒に道を選んでくれてるんだと思う。そんな優しい手。朝は気持ちよく目覚め昨日まで悩んでたことはすべてすっきり解決した。
あくまでも個人の問題の時だけだけど。それでもその手はありがたかった。

いつか恩返しがしたい。その優しくて大きな手の主に会って、意味もなくありがとうと言いたい。突然言ったらきっと相手も驚いて何の話?って言うだろうけど、そこは私が秘密って言ってその話は終わりにするの。
それからできればお友達になってほしい。いつだって手を差し伸べてくれた人だからきっと優しくて素敵な人なんだろう。惹かれるかもしれないけどそれはまた別の話でしょう。

その手の主が男の人だって事と、その手がとても暖かいってことは知ってる。手は同級生より少し大きいから多分大学生か、大人の人。
この広い世界の中、いつか出会うことを夢見て、また明日を生きる。





タイトルに表記してませんが、最初ぽちぽちしていた時はとうらぶ、転生パロとしてこの分のみ書いてました。お相手はご想像にお任せします。
ずっとメモ帳に眠ってたみたいなので引っ張り出してきました。

今度は平和な世界で逢えたら。




2015.10.26 02:02


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