(0315) ▼ 無題(赤司)

最近は仕事が忙しいらしく、部屋ではパソコンを叩く音ばかり。赤司くんの家を分かっていない訳じゃない、だから忙しいのも仕方ない。
分かっているんだけど…寂しい。

ベッドに寝転がる私の背後に、赤司くんの背。肩越しに見ても、まっすぐ伸びていて、真剣に取り組んでいる。本当ならあの背中に飛びついて抱きついて、全く、って笑いながら頭を撫でてほしい。あの手つきが恋しい、寂しい。…でも我慢だ。
きっと今がピーク時なんだ。ほぼ朝から晩まで、ずっとパソコンと向き合ってるけど、今を乗り越えればまたどこかお出かけしたり出来るって前に言ってたし。つまりくだらないお喋りも出来るってこと。
その時をずっと待ってる私は、今日もベッドに寝転がるのだ。端から見れば不貞寝だな。


『赤司くん』


調子はどう?頑張ってるね、順調?
ねえ今度どこかに行こうよ。この後どうするの?隣にいていい?
何時終わるの?進んでる?
寂しいよ。…そろそろ構って、ほしいよ。

いろんな言葉が出てくるけど、こんなの言われたって迷惑だよね。
結局何も言えず、ただ名前を呼んでみただけになった。カタカタ叩くキーボードの音に、私の声。ああ虚しい。

赤司くんとは挨拶程度にしか喋らなくなった。食事の時でさえ話せるかとうかだし…。
それでもどこにも行かず、こうして同じ部屋にいるのは何でかな…。いや私がただ一緒にいたいだけなんだけど。一人の方が、集中できたりするのかな…どうかな。

いやいや今はそんな事どうでもいいな。

起き上がり、ベッドから降りる。なるべく邪魔にならないよう静かに紙とペンを取った私。そこに短く文字を書いて、赤司くんの聞き手側にペンと一緒に紙を置いた。
するとすぐに気付いたのか、ペンを片手に取るとすぐに記入していく。早く気付いてもらえて嬉しくて、なんだかこれだけでも十分かも。
書き終えたらしく、ペンを下ろし再びキーボードを両手で叩き始めた。書いている間も片手でもやってたから、この人すごい。

そっと紙とペンを抜き取りどちらにしたのか確認する。
私が書いた内容は至ってシンプル。

“珈琲と紅茶、
どっちがいい?”

すぐに書き終えれるよう、どっちがいいか丸してねって文字もつけた。帰ってきた紙にも丁重に珈琲の方に丸されていた。これだけでも嬉しいのだが、下に短い文字を見つけた。

“今週末、どこか行こうか”

それは仕事が終わる頃合いなのかな。…口で言ってくれてもいいのにな。でもこの文字だけでもまた嬉しさがこみ上げてきて、どこに行こうかなといろんな場所を思い浮かべてた。赤司くんと久々にデートだよ…!

珈琲を持って邪魔にならないところに置いた。手が当たって零してパソコンがパア、なんてそんな悲惨な事したくないから。
ちらっと赤司くんがこちらを見る。するとふっと笑ってまたパソコンの方に目がいってしまった。…ううう何あの笑い。反則だ。ただでさえ今にやにやしてて見られたくないのに見られた上に笑われた!今はきっと恥ずかしさと胸きゅんが何かで顔真っ赤だ。赤司くんのアホ!好き!

鼻歌でも歌いそうなわたしの背を赤司くんが見ているとも気付かずにキッチンの奥に入っていく私でした。




思いつき短編に書いてて締めが分からなくなって、無理矢理終わらせた感凄いんですけど短すぎてこっちに。上タイトルは「寂しい背中」でした。




2015.03.15 19:54


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