「リーダー!リーダー!あれぇ?リーーダーー!!」

アジトに戻るといつものようにリゾットを呼ぶ。ジョルノからの依頼を伝えるためだ。いつもなら煩そうに奥の部屋から「なんだ」と顔を出すのに、リゾットの姿が見えない。それにしんと静まり返ったアジト。途端に不安に駆られて、アジト中をバタバタと探し回れば、ソファに寝そべって眠っていたホルマジオが眉間に皺を寄せて気怠そうに目を覚ました。二日酔いを引き起こしたであろう強いアルコールの匂いを漂わせて、ソファの前を通り過ぎようとした私の腰を捕まえて引き寄せる。


「喧しいぞロコ…!リゾットは居ねェ…ぁー、頭イテェ…他の奴らも知らん…」
「で、出掛けてるだけ?仕事?ちゃんと戻ってくる?皆んなもちゃんと戻ってくる?」
「知るかよォ…って、なんだよその情けねェ顔はよォ…」
「だって…」
「寂しくなっちまったのかァ?さすがウサギだなァ。来いよ、慰めてやる。」

ホルマジオは笑いながら寝たまま両手を広げて、上に乗れと急かす。アルコールの香りに顔を顰め渋々その胸板に顔を寄せると、ぎゅうぎゅうと抱きしめられた。

「ぐるぢぃ…ホルマジオ…」
「たまにはいいだろ、いつもプロシュートの野郎に独占されてるンだからよォ…あぁ、柔らけェな。」
「おしり揉むな!!」
「へへ…良い尻だなァ…元気になっちまう…」
「やぁ!!ばか!」
「冗談だろォ、なぁ他の奴が帰ってくるまでもーちょい寝ようぜ。」
「で、でも…」
「オメーもちょっとは寝ろよ。起きてたってやる事ねェだろ。」


ホルマジオの固いホールドに抜け出す事を諦めて私は少しだけ眠ることにきめた。とくん、とくんと脈打つホルマジオの鼓動が耳に心地よい。音に合わせて口ずさむ。

「...oh ninnananna ninna oh…stellina del mio cuor…」
「ロコの子守唄か…良いなァ…寝てるうちに殺してくれんなよな…」

コアラの親子のように抱き合って、暖かくてなんだか幸せ。とろとろと瞼が落ちて、久々に深い眠りについた。







「アァ?」

プロシュートが仕事から戻ると、アジトのソファには重なり合って幸せそうに寝こける二人の姿があった。見てるだけでも苛つくその光景に荒々しくソファを蹴り上げれば、ホルマジオがびくりと身体を揺らし、その上で寝ていたロコも寝ぼけながら反射的に起き上がりバランスを崩した。

落ちそうな身体を抱き留めようと手を伸ばせば、寸前でホルマジオがロコの腰を固定し、もう一方の手で頭を打たないようにと庇った。

その慣れた手つきにも腹が立つ。

「なにすんだ、テメェ。ロコが落ちちまうだろォがよォ…」
「ん…プロ、シュート…?」
「うるせェ、盛ってんじゃあねェぞテメェら…」

ホルマジオの上に眠気眼で座るロコを引き上げ、膝裏を通し抱えれば、先程までホルマジオにしていたように胸に頬をすり寄せ、安心したのかまた瞼を落とした。

「オイ、ロコのヤツはよォ…なんだって独りを怖がる。さっきもよォ、アジトの中をリゾットやお前を探し回ってパニックだったんだぜ?」
「…オメーには関係ねェ話だ。」
「あーそうかよォ、同じチームの俺には関係無くて、オメーにゃ関係あるってワケかよ。まったく兄貴の面倒見には畏れ入るなァ…。」
「…言ってろ。」


ニヤつくホルマジオを背にロコをベッドルームまで運び、安いスプリングの上にゆっくりとその身体を沈め、ふにゃふにゃともごつく唇に引き寄せられるようにキスを落とす。いつかこの唇が俺を求めるだろうとその日を待っているが、コイツの鈍感も相まって、そろそろ限界が近い。
今日のように誰彼構わず懐く様は、胸に広がる独占欲を助長させる。

起きたら直ぐに何度目か分からない「警戒心を持て」という説法を始めなければならない。日曜でも無いのに神父の真似事だ。小言に顔を顰める様子が想像出来て自然と口角が上がった。




《 ユニバーサル・バニー 》
(ハグして、キスして、夢の中なら大胆に。)




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NINNANANNA NINNA
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