「なんだ、ここ…HAYATOの控え室?いや、でも」
「あー、美風藍ちゃんにゃ!」
「う、嘘…」
まさか美風藍がこの楽屋に?つーか、一番びっくりしてるのはトキヤだろうけど、俺だってびっくりしてしまい思わず女性口調を忘れそうになってしまった。
「ゴホンッ。では私は失礼します。小傍唯さん、こんな兄ですがまた共演したらよろしくお願いします。それに、いま話題のアイドルを見れたのでちょっと嬉しく思います。美風藍さんも私の兄をよろしくお願いします」
場の空気を呼んではトキヤは控え室から出ていった。まあ、元々関係者じゃないからなと想いながら溜め息が出てしまった。なんとかバレなかったという安心感。
「ねぇ、あれは関係者じゃないよね。どういうつもり」
「トキヤは僕の忘れ物届けてくれただけなんだよ〜」
「へぇー、で君は?」
「私ですか…?」
「そっ、さっきマネージャーが君のこと売り込みをしていたの見て、そんなに事務所運営悪いのかと思ってね」
「いや、悪いのかとは…一応企業なので」
「あ…、僕急ぎの用事あるから出るにゃ。藍ちゃんもお疲れにゃ。唯ちゃんも」
HAYATOは場の空気をよんで(つーか空気よむ能力は双子だから似てるんだ)控え室から出ていけば、美風藍は大きな溜め息を吐きながら俺に近寄ってきた
「この前以来か…小傍唯さん、いや本来の名前言った方がいいか。来栖翔。これが君の正体。そして君は女装してるアイドル」
「なっ…!?」
「なんでってか。あの後君について調べたんだ。そしたらまさか男の子だったわけね」
バレてしまった。しかも自信満々で言われてしまい、どうにか弁解しないとと必死で考えた。今までなかったから…。俺は頑張っていた今まで事がバレてしまうのが怖くなってしまった。
「私は…!」
「いいよ、どうせ言い訳でしょ?どんなに説明されたって僕は事実しか信用しないし、それに…」
かじっとウィッグを捕まれては俺の元の髪が藍の目の前に。ひらひらとウィッグは下へ落ちては完全に言い逃れ出来ない状況になってしまった。どうすればいい?半ば真っ白な状態、抵抗したって相手はアイドルだからとグッと堪えたら、俺の頭にふと違和感を感じた。何故かタオルが頭に…
「深い理由あるみたいだね。僕も馬鹿じゃないからそれくらい分かるよ。だから交換条件」
「こ、交換条件…?」
「僕は君の秘密を握ってる。なら君も僕の秘密を知る必要あるし、これはメディアに出したら二人ともアイドル生命終了みたいな秘密だからね。それくらいの覚悟あるから君に秘密を教えてあげる」
この日から奇妙な美風藍との関係が始まった。
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